まんだらけ 小倉店

L.S.C in 小倉 〜ライトノベル普及委員会〜【第23回】もうすぐ20周年の人(その1)

今回も戦争(が題材のライトノベル)の話、にしようと思っていたのですが、急に違うことを思いついたので書きたいと思います。

ライトノベルというジャンルは、ジャンル自体が確立されてからおよそ20年余り(異論有りとは思いますが)程度しか経っておらず、ジャンルとしてはまだ未成熟なものです。 さらにはその時その時の流行りにも敏感なため、それゆえ作家の寿命が長いとはいえず、さまざまな書き手の方がこの20年間に出ては消えて行きました。

そんな中、ライトノベル創成期から今まで、ほぼずっと第一線で書き続け、にもかかわらず作品が大ヒットしたこともなく、 アニメ化・実写化も一度もされたことのもない、というこのジャンルでは稀有な作家がいます。

(図1)

今年も「ドラモンド家の花嫁」(図1)にて、毎年の連続刊行記録(?)を更新している。冴木忍先生のデビューは1990年。第一回の富士見ファンタジア長編小説大賞にて佳作を受賞。 (ちなみに、この年の準入選が「スレイヤーズ!」だったりします。もうひとつの準入選「リュカオーン」の縄手先生はいまどここに…おもしろかったのですが)
以来19年にわたって、富士見書房と角川スニーカー文庫でのみ、作品を発表し続けています。

(図1)

作品がアニメ化されたことがない冴木先生ですが、デビュー作にして代表作の「道士リジィオ」(図2)がOVAにという企画があったようですが、頓挫したと作者自身が語っています。 もっとも、アニメ化されることで売り上げが大幅に上がる作風とも思えないので、ファン的にはこれでよかったのかもしれません。

冴木作品の特徴、としてよくあげられるのは、「登場人物が不幸」だというのは、以前にも取り上げたことがあります。
ただしそれは「不幸」というくくりというより、登場人物の持つ事情・状況が特殊であることが多いということでもあります。
美形ゆえにひどい目に遭い、強大な魔力を厭わしく思う主人公・リジィオは冴木キャラの代表格でもあり、後に数多くライトノベルに登場する”平凡だけど強大な能力を隠し持つ主人公”とはすでにして一線を画していると言っていいでしょう。

次回もおそらく冴木忍先生の話です。

(担当 有冨)

※この記事は2009/5/27に掲載したものです。
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