【まんだらけトピックス】本・まんが・コミック・TOY・同人誌の専門店

一家心中をするくらいなら嫁や娘を売ってでも家を守る…という時代柄、
東北から室蘭の遊郭に売られてきた4人の少女、松恵、梅、武子、道子のそれぞれの運命を綴る第1部と、
女郎となった梅が生んだ娘・道生が戦争を経て逞しく成長して行く様を綴る第2部から構成。
昭和初期まだまだ未開の地であった北海道は、色々な土地から色々な事情を腹に持ち集まった人間の手で開拓されました。
鉄の街室蘭で、人としての充分な尊厳などなく当たり前に使い捨てられる工員達、そしてその男達の為に造られた政府公認の幕西遊郭。
実在したこの遊郭に纏わる人生と歴史が、細やかな取材・調査のもと脚色されすぎることなく描かれています。

身体を売る事を受け入れられずすぐに自害する松恵、11歳で自ら遊女となり全てを諦めながらも生きたいと願う梅、
頭のよさと努力で日本一の芸妓にまで上りつめる武子、醜さ故に誰からも愛されない事に怯え自ら下級の女郎と成り果て、自分を捨てた親を恨むことなく死んで
いく道子。
彼女らの思いを全て背負い込むように産み落とされ、理不尽に流される事も不幸に溺れる事もなくまっすぐに生き抜く道生。
不幸を題材にした作品は多々ありますが、他人の不幸はなんとやらと、二次元で起こる他人の不幸を面白おかしく気軽に楽しむ為の作品ではありません。北海道を含む日本、時代はこうやって作られていったという生々しい史実です。
人間として生きるとはどういう事なのか、何の意味があるのか、何の為に生きるのか。
娘を売る親、自分の意思などなく身体を売るしかない女、それを買い蔑む男、誰が悪いなんて誰にも言えません。これらの壮絶で悲しい史実の元に現在の平和な北海道があって、私達はそこに生きているというのもまた史実です。
長々と書きましたが、私はこの作品を読んで声を出して号泣しました。そのくらい心を揺さぶられたので、読んでもらいたいです。まとめるとこうなります。

ウェブコミック化されていますが、紙媒体ではこのオリジナル版と後に出た文庫版、いずれも絶版。あまり気負いせず読めるウェブ版より、1枚1枚自分の手で頁を繰って頂きたい、色んな方に読んでもらいたい作品ですし、同じ考えの方が多いのか店頭でお探しのご依頼を受ける機会がとても多いです。
状態は各巻帯付、カバー少イタミ、小口少ヤケ・少シミ・少研磨、1巻小口地にゾッキ印、表紙少ヘコミキズ。読む分には差し支えありません。
オークションは本日21時より開始。

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(担当いわき)