まんだらけ小倉店 1F 少年コミックただひたむきに前向きにひたすらに一生懸命に

少年コミックの主人公にもいろいろ種類ありますが、あこがれるというか、こういう風になりたい、と思わせるような主人公は最近減ってきているように思います。
たとえば「ワンピース」は間違いなく面白い漫画ですが、ルフィそのものにがっちりあこがれてこうなりたい！と思えるのはさすがに低年齢の読者だと思いますし（まず物理的に無理ということも含めて）、同じ意味で「ブリーチ」「ナルト」あたりも厳しいです。「バクマン。」にはあこがれるところが多いものの、主人公たちの性格や行動原理までもあこがれるはどうかはまた別の問題です（もちろんそれまで計算しての作品つくりだと思います）。

あこがれる対象というのはスポーツマンガがやはり多くなると思いますが、いい悪いは別にして、超人的な能力や描写の多くなってきた時節、このジャンルでも意外に対象は少なくなりつつあります。

そんな中、時代に逆行するように、あるいはそんな現代だからこそというべきか、超人的な描写・表現を極力避け、主人公からも派手さを回避し、ただスポーツの持つ魅力や、その魅力を負い続ける主人公を描こうとしているのが、週刊少年マガジン「ベイビーステップ」です。
タイトルはそのまんま「赤ん坊のハイハイ」のごとく、優等生だが平凡な主人公がテニスの魅力に惹かれ、ひたむきに努力していくという、まるで同雑誌の大先輩「はじめの一歩」を彷彿とさせる内容です。
「はじめの一歩」にはまだ主人公に『いじめられっ子』『パンチ力』という特徴がありましたが（それぐらいしかなかった、というのは逆に画期的なことですらありました）、「ベイビーステップ」にはそれすらなく、ただまじめで一生懸命である、というくらいしか主人公には特性がありません。

もちろん、読んでいくと数々の『漫画的表現』は出てきますし、そもそも高校生からテニスを始めた主人公が上手くなりすぎているなどはありますが。
『でもこんなことがありえるかもしれない』『こんな青春を送ってみたかった』と思わせる時点で、すでに「ベビステ」の勝ちなのだと思います。

というわけで、長くなりましたが「ベイビーステップ」最新刊10巻までのセットです。
プロになるまで読みたいので、長く続いて欲しい…。

※掲載商品は店頭でも販売致しております。売り切れる場合もございますので予めご了承ください。

(担当有冨)