まんだらけ中野店 4F 記狂気の日本画 - まんだらけトピックス

『対決巨匠たちの日本美術』￥1050
『別冊太陽江戸絵画入門』￥525(折れ目立ちます)

「この夏、僕は幽霊みたいな人を連れて上野の国立博物館に『対決巨匠たちの日本美術』を見に行ったのです。
当初の僕の目的は雪舟の『慧可断臂図』を拝観することでした。
実物を拝したら僕は思はず涕涙してしまふんぢゃなからうかと危懼したけれど、期待感が多すぎたせゐか、実際にはあんまり感動出来ませんでした。
それよりなにより僕が不意打ちのやうなカタチでタマシヒを揺さぶられたのは「曽我蕭白」といふ人の「群仙図屏風」といふものでありました。
これは狂気以外の何者でもないでせう。
しかしモンダイは、これが意識的な狂気なのか意図せざる狂気なのか、といふことなんです。
といふのは我々は明治以降の近代合理主義の呪縛から全く自由になることが出来ない訳で、我々の審美眼とてそれから自由ではありませんでせう。
つまり、我々の目から狂気に見えるものが正常であって、我々こそが狂ってゐると考へた方が自然かも知れないといふのです。
なんとなれば、近代合理主義とは人類の病的変態のことなのですから。つまり近代合理主義を摂取してから我々は皆病んでしまってゐるのです。
そんな病んだ我々の審美眼で以って、狂ってるとか正常であるとか云っても、滑稽といふものです。
さういふ意味に於いて云ふなら、白隠禅師の禅画についても同じことが云へるでせう。

白隠の書画は静かに狂ってゐます。
しかし、さう感じる我々が静かに病んでゐるんでせうな」
国宝級の日本美術を惜し気もなく披露した『対決巨匠たちの日本美術』の図録です。
その名のとほり「巨匠」の作品が満載。
我が国の美術の「粋（すゐ）」を感じるには適した一冊でありませう。
『別冊太陽江戸絵画入門』には「禅画」が紹介されてをります。
まんだらけ中野店4階「記憶」にて是非御覧下さい。他にも美術書、写真集など「非合理的なもの」多数取り揃へて「不条理な」皆様のご来店をお待ち申し上げてをります。

(担当山口ケン)