デザインから編集まで、独自の梶原一騎感を持った人間のみで構成。
文武両道をパッケージングした結果、このような仕様となりました。
「文と武」を「本とTシャツ」で表現しています!本気です。
まさにドン・キホーテの末裔にしか作れない、
ないものネダリの連続イコール男の人生アイテムです!


表紙は「青春一騎打ち」の頃のパワフルver

裏表紙は晩年ver

「巨人の星」「あしたのジョー」「カラテ地獄変」の原作者・梶原一騎が、
業績や善悪を超え「男」という尺度のみで政治家・スポーツ選手・芸術家、
果ては漫画家までを書き殴る!!
大山倍達、アントニオ猪木、宮本武蔵はもちろん、
ピカソから大橋巨泉まで総勢60人。
梶原一騎の定義する「男」とは?その目に映る「星」とは何か?


見返しは登場人物で構成されたプラネタリウム

口絵にオリジナル版の書影

「男たちの星」が紹介されました

インフォバーン発行『サイゾー』2007年10月号(9月18日発売) 吉田豪「作品より面白い!マンガ家自叙伝」(70・71p)で、ご紹介していただいています。
ありがとうございます!!
徳間書店発行『HYPER HOBBY』2007年10月号(9月1日発売) 連載コーナー・吉田豪「豪ちゃんのダイナミック・プロハンター」で取り上げていただきました! 46pに掲載されています。
あのフレーズひっぱるなんて、やっぱサンプリングセンス高い!
浅草キッドの水道橋博士の日記「博士の悪童日記」 9月10日分でご紹介いただきました。
ありがとうございます!

梶原一騎「男たちの星」

梶原一騎による刊行物の中で最も入手困難とされた1973年日本文芸社発行のダルマブックス『男たちの星』に、未収録を含めた全56回を完全収録!

まんだらけ店頭とWEB通販のみ限定500部。
一般書店での取扱はありません。

  • Tシャツはランダムに封入されているため色は選べません。ご了承ください。
  • Tシャツのボディはワンサイズのみ 着丈:76 身幅:56 袖幅:21.5 となります。
  • 特殊な装丁の為、製品の仕上がりに若干のムラがあります。何卒ご了承ください。
ヘッダー付袋入り・Tシャツ同梱
本=B6ソフトカバー・スウェード調クロス装・金箔押し/ナンバリング入り \7000(税込)
Tシャツ/カバーデザイン
Design Direction:植地 毅
Mac Scratch Work:メチクロ(MHz)


ボディとプリントのカラーの組み合わせで全67種類!!
そのうち1種がランダムにアソートされています。
size:free
(ボディ22色×プリント5色−ちょっと無いなあと思った組み合わせ=67種類。Tシャツで500枚って響きが限定感薄いんで、こんな感じにしました。3枚しか作ってないパターンとかも結構あります。多いのでも20枚くらい。)
  • 購入時には選べません。ご了承ください。
  • サンプルはごく一部です!

ねおまんだらけ誌上限定ver

  • クロス色=モスグリーン
  • 数量:50
まんだらけZENBU年間購読特典「ねおまんだらけ」誌上で抽選販売。

ねおまんだらけの詳細はコチラ

渋谷店10周年限定ver 完売しました

  • クロス色=えんじ
  • Tシャツのプリントが金or銀
  • 数量:50
2007年8月18日
まんだらけ渋谷店のみで販売
完売しました。ありがとうございました。

*渋谷店店頭限定販売

*通常販売用500部に金or銀のプリントは含まれません。

*電話による通販は9月5日以降となります。ご了承ください。

渋谷店10周年の詳細はコチラ

『男たちの星』に関するマイノリティーリポート

國澤 博司[まんだらけ中野店 マニア館] 「男たちの星」は、日本文芸社・週刊漫画ゴラク1972年10/19号から1973年11/22号(1973年11月15日号休載)まで全56回連載されたノベル・エッセイ。
今回の単行本化にあたっては、週刊漫画ゴラク本誌を底本としている。

1973年の連載開始当時の週刊漫画ゴラクは、
小池一雄・ケン月影『葬流者』
牛次郎・モンキーパンチ『摩訶男』
神保史郎・高橋亘『ニセガク無宿』
松本零士『聖凡人伝』
吉田松美『レモンマリア』
を主軸に、谷岡ヤスジ・秋竜山・はらたいら。

そこに中編読み切りが毎回掲載され、さらに連載小説が2本。
『男たちの星』は、花登筐『丁稚』の終了にともないスタートした作品である。

数あるメジャー青年誌の中でもアクション・ヤングコミック的な尖端のラインではなく、 週刊漫画サンデー、週刊漫画timesをはじめとする芳文社系劇画誌が持つある種のダーティさも違う。
なおかつ、プレイコミック以上に硬質な男臭さが感じられる漫画ゴラクで連載したことが絶妙で、 雑誌としてのトータル感を損なわないし、作品にもプラスになっていると思う。

作品の時系列的には『あしたのジョー』『空手バカ一代』『ボディーガード牙』『柔道讃歌』『愛と誠』連載中にあたり、 『斬殺者』が最終回を迎えた翌月からの連載開始。

同誌では『男たちの星』と並行して『一騎名勝負劇場』を連載を開始。
梶原一騎の生涯で最も漫画原作で多忙を極めたのは、このあたりから1976年にかけてである。

1974年〜1976年にスタートした新連載は、少年誌・青年誌含めると15作以上。
時代と読者の質の変化があるにしても、『カラテ地獄変』を除くとそれほどヒットには結びついていない部分が、 依頼を受けた仕事は原則として全部引き受けるという立場と、作品のクオリティ維持を両立することの限界を示している。
作品の人気と充実度から見ても1973年は、まさに劇画原作者の「星」を掴もうとしていたその時である。

後年は興味のないジャンルも手掛けていたとも言われているが、比較的初期から全盛期とされる作品であっても、 梶原一騎作品の特徴といえる実在の人物を登場させる事や原体験が盛り込まれている訳ではなく、 『人生二勝一敗』(70年)ではセールスマン、『男の条件』(68年)では漫画家といった具合に、意外とも思えるほどのモチーフを完全な創作で仕上げている。
小池一夫が創作の基本がキャラ立ちであるのと同じように、梶原一騎は、男たちの心の中に「星」を抱かせる事ができるのである。

すべての作品において、そうなのか?
という部分には即答しかねるが、本書の「序章・男の条件」に書かれている「男が命ギリギリを燃やしつくすとき、私はコジキ以外なら、いかな仕事も作業も神聖、崇高であり得ると思う。」というこの言葉を疑う余地もない。ここに収められた作品に関しては間違いなくこの「星」という視点で、これだけ多種多様な人物を読み物として纏めている。
そこで『男たちの星』は作家として絶頂期にある梶原一騎の心情で書かれている事が重要になってくる。

梶原一騎自身の男たるものの定義は終始一貫しているが正から負への変化がある。
つまりは、生涯を貫くアンチマイホーム主義にしても、〈安定に留まる事のない常にチャレンジする男〉が、〈美影義人よろしく無法の限りを尽くす男〉となる。
結果的に「星」を抱く事の苦悩を身を持って示したのが後年のいわゆる狂気の時代(*1)であり、それに従い強烈に負に作用していく。

1978年に週刊読売に連載された『巨人のサムライ炎』では、蜃気楼の魔球を左門豊作に敗られて右投手の限界をしった飛雄馬は、父・一徹から父子の野球人生は終わったと告げられ慟哭するシーンが、当時監督だった長島茂男の回想として収められている。
「よ・・・・・・・よく、そう冷酷にとどめを刺せるな!
ガキの頃から、あれが巨人の星だ、あの星をめざせと・・・・・・・」
「巨人の星になりおおせたではないか
しかも左右の両投手として、川上時代長島時代の二度までも
エースの座に本望に思え
巨人の星をめざしつつ、辿りつけなんだ者が無数
また辿りついても星の輝きのコヤシにされて終わった者が数知れず
この星一徹も然り・・・・・・・・・」
「一度でも星になった人間はなりそこねた連中にはわからん苦悩がある
おれはもう終わりなのかあ〜〜〜〜〜っ!?」

「星」をつかんだ男の宿命を背負わされた男「星飛雄馬」は、3度も作品に登板し(*2)、巨人の2軍ピッチングコーチとしての道を辿るところまで描かれている。
ここまで現実を背負わされた梶原原作主人公はただ一人。そして不死鳥のフレーズもまた然り。 同じく名前に「星」を背負わされた主人公・赤星潮(*3)は、まさしく星の輝きのコヤシになってしまった。いずれにせよ「星」を名前に持つ男は何かしらの宿命を持っているように思えて仕方が無い。

コアマガジンより刊行された『ワル最終章』完結編の巻末インタビューで、 「梶原一騎は『あしたのジョー』なんては書くときは早いんだよ。矢吹丈はアニキ自身に近いからな。『巨人の星』は時間がかかる。 一緒にハワイに行った時なんて、こっちは早く遊びに行こうって言ってるのに『巨人の星』の原稿で5時間ぐらい部屋にこもってたからな。 星飛雄馬は創作で作った部分が多いからだよ。」と、実弟である真樹先生は語っている。

原体験を作品に生かす事を得意とする作家であるからこそ、創作が過酷な作業となり、 自己の心情を吐露してしまうキャラクターとなっていったのかも… というのは深読みだろうか。

劇画作家の星となりおおせた梶原一騎は、この『巨人のサムライ炎』終了後、飛雄馬のように新たな道を模索している。
「今度、海洋ロマンものを書こうと思いまして・・・・。 これまでに、野球にしろ、ボクシング、空手にしろ、書き尽くしちゃって、そこで未知の海に挑もうというわけです。」
これは『サムライ炎』終了後、同誌で連載した『さらばサザンクロス』開始にあたり企画された石原慎太郎を迎えての対談冒頭での発言である。
そこでは、本作でも登場する堀江謙一に関して、「世界規模で見ればそれほどの事でもない」と石原慎太郎から聞かされ、「すごいと思ってたのにショックだよ」と語るシーンもある。

海洋ロマンとして期待を受けスタートするも、結果的には全16回で終了。
その間、2回の休載(1回の総集編が存在するため実質3回)。
『新巨人の星』に対する『悪役天使』(*4)的な位置づけで、『人間兇器』の断片を抜粋したような不完全燃焼の感は否めない作品となった。

現在でもファンの間では梶原一騎原作の中でもワースト1として挙げられる作品だが、梶原一騎作品をめぐる外側の構造がある程度明らかになった現在なら、過去作『ケンよ海で泣け』(*5)の青年向けリメイクで切り捨てるにはもったいない何かに溢れている。
ブルジョワに対する精神貴族の概念が、
「豪華客船の旅なんて輩はどれもこれもブルジョワだ 敵だ!!不要不急の享楽には また 不要不急の残忍さをもって酬ゆる!」
という負のエネルギーとなって発せられている部分に、かろうじて作中のシージャックの必然性を感じ取れるし、朝比奈徹の視点では『朝日の恋人』となり、 巨勢夕介の視点では『人間兇器』として正と負の視点が同時に混在する作品となっていると解釈する事で、それなりに楽しんで読めるように作品を取り巻く状況は変化した。

後年の梶原一騎作品がこのような読み方ができるようになったのは、95年以降の梶原一騎再評価のキッカケとなった斉藤貴男著『夕やけを見ていた男 評伝梶原一騎』、 そして賛否両論あると思うが、今回カバーデザインを手がけていただいた植地毅氏の他、吉田豪氏、大西祥平氏、宇田川岳夫氏らによる共著『マンガ地獄変』である。

『男たちの星』は、梶原ファンの指針となっているこれらをはじめいくつかの書籍の中で取り上げられているから、この作品のタイトルだけは知っているという人は意外に多い。
特にモノホシうんぬんのくだりは、浅草キッド著『お笑い男の星座2』の序章でも引用されたりと、梶原一騎ファンでなくともこの作品の存在を知るキッカケはゴロゴロある。
だがそれに反して、単行本はとにかく市場に出ない。

99年9月から01年6月。
絶版漫画ブーム最盛期と本人確認が確立される前のヤフーオークション無法地帯の相乗効果で、 セドリを存在証明とするヤフーゴロみたいな連中達が現れはじめた。

この頃のヤフオクは、とにかく出せば出しただけ売れるもんだから、その味をしめた人間は日々セドリに血道を上げ、仕事を辞め本職にした人も少なくない。
出品物のセレクトと、それに裏付けられたコメントのセンスに自己表現の場を求めた連中もいた。セドリがユースカルチャーとして成立した幸せな時期である。

いままで一部のコレクター間の共通認識でしか成り立っていなかった、何がレアか? レアじゃないか? が目に見える形で立証され、1973年日本文芸社より発売された新書判実用書シリーズ・ダルマブックス『男たちの星 *男の生き方入門』は、そんな連中の間で間違いなく金になる1冊として注目されるようになっていく。

こんな状況で「男たちの星」は95年以降の再評価で生まれたコレクター嗜好の強い梶原ファンの間で、最もエポックメイキングな1冊となり、その他ジャンルを集めるコレクター達にも知名度を上げていった。

きんらん社や宏文堂など貸本期の単行本を差し置いて、最難関として語られるほどの入手難易度を誇る位置にあったのは間違いない事実!
「レア=つまらない」は、ある意味絶版業界の定説で、つまらなくて人気がないからレアになっていったという割と理にかなう図式だが、これを覆す「レアかつ面白い」はエッジが効き過ぎたものに対して成立する!
「男たちの星」は数々の梶原一騎作品を読み進めた上で読んだ時、読む人の梶原観によって様々な見え方をするはずである!

だから僕にとっては、自分が梶原一騎の何に惹かれ、何故ここまで来たのかを確認できるという意味で、これをゴールに取っておいても良いんじゃないの?って思える作品なのだ!!

*1 斉藤貴男著による『夕やけを見ていた男 評伝梶原一騎 』で定義された、格闘技や映画興行への傾倒〜スキャンダル・逮捕までの時期。

*2 正確には読切『それからの飛雄馬』を合わせて4度。

*3 『四角いジャングル』の主人公であったが、本編が実録路線に進むにつれいつの間にか登場しなくなった。梶原一騎原作漫画の主人公で名前に星を入れた主人公は2人だけ。

*4 この後に控えている連載の構想を実験的に使用しているケースと、同時期に連載している作品が片方にひっぱられるケース。意図せずして過去作品に酷似していくケースがある。これらを総称して梶原サンプリング・ワールドとも呼ばれる。

*5 まんが王連載の画・小沢さとるによる熱血海洋まんが。連載当初は船上を舞台としていたが、後半は孤島でのサバイバル。