1996年11月に発行された『カードダスニュース』には、ポケットモンスター(ポケモン)関連の描き下ろしイラストがおよそ40~50点追加される告知がありました。
この時期はポケモン初期ブームの頃で、バンダイのトレーディングカード自販機「カードダス」シリーズからポケモンカードが発売された時期でもあります。
実際、1996年9月から翌97年にかけてバンダイより 「ポケットモンスター カードダス」 と呼ばれるカードセット(パート1・2 全155種類、パート3・4 全151種類+特殊カード)、ジャンボカードダス
シールタイプ全6種類が展開されておりbulbapedia.bulbagarden.net
パート3・4 のイラストはいずれも新規に起こされたオリジナルイラスト(描き下ろし)であり、カードダスシリーズ独自のポケモンアートとなっています。
結論から言えば、これらポケモン描き下ろしイラストの制作者(イラストレーター)は杉森建(すぎもり けん)氏であることが各種情報源から確認できます。杉森建氏はゲームフリーク所属のアートディレクターで、ポケットモンスター赤・緑のキャラクターデザインおよび公式イラストを手掛けた人物です。当時、ポケモン関連のカラー公式イラストレーションは主に杉森氏が担当しており、『カードダス』用に描かれたこれらのイラストも例外ではありません。
複数の資料によれば、バンダイの「ポケットモンスター カードダス」(1996~1997年発売)のカードカラーイラストはすべて杉森建氏によって描かれたものですbulbapedia.bulbagarden.net dittodan.neocities.org 。Bulbapedia(ポケモンのファン百科事典)の該当ページでも「1996年と1997年に発売されたポケットモンスターカードダスの全カードカラーイラストは杉森建による」と明記されています。bulbapedia.bulbagarden.net 。また、ポケモンファンの分析サイトでも「カードダスPart 1&2のカード表面には杉森氏による水彩画が使われている」と具体的に記述されていますdittodan.neocities.org。
つまり、『カードダスニュース』1996年11月号に予告された約40~50点のポケモン新規イラスト群は、すべて杉森建氏が描いたものであると考えて間違いありません。
これらのイラストは既存の公式絵の流用ではなく完全新規の構図であり、カードダスPart3・4ではポケモンがそれぞれ固有のわざを繰り出す場面が描かれるなど、他の媒体では見られない独自の描写になっていますdittodan.neocities.org 。
事実、「Part3および4のカードセットには杉森氏による新規水彩イラストが収録されており、これらの絵は他の製品では一切使用されなかった」とする記述もありますdittodan.neocities.org 。
このことから、カードダス向けカラーイラストは杉森氏がこの企画のために特別に描いた限定アートであることがわかります。 当時の関係者証言や公式情報も、これを裏付けています。直接の公式クレジットこそ限られていますが、ポケモン初期の関連商品展開では「ゲーム発売当初カラーイラストが存在しなかったポケモンも含め、杉森建氏が全151種の正式イラストを用意した」という旨のエピソードが伝えられていますjp.mercari.com 。
実際、杉森氏はゲームの発売後に刊行された公式ガイドブック等のためにも全ポケモンのイラストを描き下ろしており、その延長線上でカードダス用の大量の新規イラスト制作も行われたと考えられます。このようにポケモンデザインの生みの親である杉森建氏が中心となり、カードダス用イラスト群が制作されたことは間違いないでしょう。
また、ファンの回想やコミュニティの情報でもカードダス版ポケモンカードのカラーイラストは「杉森建による描き下ろしイラスト」であると評価され、現在では貴重なアートワークとして語られています jp.mercari.com 。 日本のファンからも「あのカードダスのイラストは杉森建による描き下ろしで今となっては貴重だ」といった声が上がっています(※個人ブログの言及)jp.mercari.com 。
『カードダスニュース』1996年11月号に告知されたポケモン関連の描き起こしカラーイラストの制作者は、ポケモン公式イラストレーターである杉森建氏です。 バンダイのカードに描かれたオリジナルカラーイラスト群はすべて杉森氏の手によるものであり、当時の公式関係者や後年のファン調査からもそれが支持されています。bulbapedia.bulbagarden.net dittodan.neocities.org 他のイラストレーターや外部チームが関与した形跡はなく、ポケモン初代151匹の公式アートを生み出した杉森氏自身が、そのままカードダス向けにも新作カラーイラストを提供した形になります。したがって、該当カラーイラスト群の作者は杉森建氏であり、彼の描き下ろしによる貴重なポケモンアートとして位置付けられています。
Sources:
英文
I have already seen the information supplied by Mandarake and find it somewhat disappointing.
Firstly, it is unbelievable that a company such as Mandarake, who pride themselves on their 'authenticity', would cite websites such as Bulbapedia
and "DittoDan" as reliable sources of information. Bulbapedia is an open-source web page that can be editted by anyone with an internet
connection. Ditto Dan is a user who is obsessed with Ditto and currently has 144 followers on social media, I don't think they can be cited as an "expert" on Ken Sugimori. It is baffling that these two sources have been considered over the words of an actual employee at Bandai who has stated these are NOT drawn by Sugimori! This does not make Mandarake look like a company that undertakes extensive research into the products they auction.
The latest statement from Mandarake has been met negatively by a number of high-profile members of the Pokémon community and I am aware of at least two people who are currently preparing further evidence and seeking legal advice. I know that GameFreak/Ken Sugimori have been contacted by one member of the community who has a contact in the business.
Finally, I am attaching two more images for your perusal. The first is a auction lot of a Meowth Cardass illustration that was listed by Heritage Auctions in September 2024. This was another piece from the collection of
the person who owns the Raichu. This piece was later pulled from auction after evidence surrounding the authenticity was bought to the attention of the auction team. The second image is from Yahoo auctions, sold by the original seller, as you can see there is absolutely no mention of Ken Sugimori in the title and the price sold was considerably less.
I am also once again attaching the images of the original sellers comments, the ex-employee of Bandai, who clearly states that these paintings were NOT drawn by Sugimori.
I hope once again that Mandarake consider re-evaluating whether auctioning this lot is worth the potential negative impact that it will have on their company and future auctions.
Kind regards,
まんだらけから提供された情報は既に確認済みですが、少々残念に思います。
まず、「本物」を誇りとするまんだらけのような企業が、Bulbapediaや「DittoDan」といったウェブサイトを信頼できる情報源として挙げていることは信じられません。Bulbapediaはインターネットに接続できる人なら誰でも編集できるオープンソースのウェブページです。Ditto Danはディットに夢中なユーザーで、現在ソーシャルメディアで144人のフォロワーを抱えています。彼を杉森建の「専門家」と呼ぶことは到底できません。バンダイの社員が「これらは杉森が描いたものではない」と明言しているにもかかわらず、この2つの情報源が考慮されたとは、実に不可解です。これでは、まんだらけがオークションに出品する商品について徹底的な調査を行っている企業とは思えません。
まんだらけの最新の声明は、ポケモンコミュニティの著名なメンバー数名から否定的な反応を示しており、現在、少なくとも2名がさらなる証拠を準備し、法的助言を求めていることを私は知っています。また、ゲームフリーク/杉森建氏には、ポケモン業界と繋がりのあるコミュニティメンバー1名が連絡を取ったことも承知しています。
最後に、ご参照いただけるように画像を2枚添付いたします。1枚目は、2024年9月にHeritage Auctionsが出品したニャースカードダスのイラストのオークションロットです。これは、ライチュウの所有者のコレクションからの出品でした。この作品は、真贋を裏付ける証拠がオークションチームに提示された後、オークションから撤回されました。 2枚目の画像はヤフオクで元の出品者によって出品されたものです。ご覧の通り、タイトルには杉森建氏の名前は一切なく、落札価格も大幅に下回っています。
また、元の出品者のコメント画像も添付します。この出品者(バンダイの元社員)は、これらの作品は杉森氏が描いたものではないと明言しています。
まんだらけには、このロットをオークションに出すことの是非を改めて検討していただき、会社と今後のオークションに及ぼす潜在的な悪影響を考慮に入れていただきたいと改めて願っています。
まず、BulbapediaやDittoDanといったファンサイトの情報の扱いについてご説明いたします。当社はそれら非公式サイトの情報を“真贋判断の唯一の根拠”とはしておりません。 Bulbapedia(ポケモンのファン百科事典)やDittoDanの分析サイトは、当時のカードダスに関する有志の調査結果をまとめたものであり、公式資料ではないことは十分承知しております。しかしながら、これらのサイトに記載された内容(「1996〜97年発売のポケットモンスターカードダスのカラーイラストはすべて杉森建氏によるもの」との記述など)は、複数の資料や当時の状況と合致するため参考情報として言及いたしました。実際、カードダス用に描かれたイラスト群は当時杉森氏が中心となって制作したことを裏付ける証言や記録が存在し(例: 『カードダスニュース』1996年11月号での新作イラスト告知など)、ファンコミュニティでも広く認知されております。
重要な点は、当社の判断はあくまで自社の専門スタッフによる現物の精査と経験、さらには社内外で収集した公式・非公式の資料に基づく総合的な検討によるものであるということです。BulbapediaやDittoDanの情報はその補強材料として位置付けており、それら“だけ”に依存して真贋を断定したわけではございません。長年にわたり培ってきた当社の鑑定眼と知見に基づき、本原画の品質・描画スタイル・経緯等を総合評価した結果として、現在の見解に至っております。
次に、「元バンダイ社員」を名乗る人物の証言についてです。一部情報によれば、かつてYahoo!オークション上で本件と類似する原画を販売していた売り手が「これらのイラストは杉森建氏の作ではない」と述べたとのことです。しかし、当該証言は匿名の個人発信によるものであり、その出所や真偽を当社で裏付けることはできておりません。仮に発言者が実際に当時の関係者だったとしても、それは公式に確認された情報ではなく、第三者による客観的な証拠とは言えないと考えております。
当社は、美術品やコレクターズアイテムの真贋評価に際しては、信頼性の確認できない一次情報には慎重な姿勢をとっております。例えば「◯◯の元社員がそう言っている」といった話だけで作品の作者を断定的に否定することはいたしません。公式資料・信用できる証言・作品そのものの鑑定結果など、複数の観点から総合的に判断することが不可欠です。本原画について現時点で当社が把握する限り、杉森氏以外の人物が描いたと客観的に示す決定的な証拠は確認されておらず、むしろ前述のとおり年代的・技法的に杉森氏の手による可能性が高いとの結論に達しております。もちろん今後、仮に公式に裏付けられた新たな情報が提示された場合には真摯に受け止め、必要な対応を検討いたします。しかし現状では、匿名の「元社員証言」のみによって当社の見解を覆すことはできない点、ご理解いただければ幸いです。
続いて、過去の類似事例として挙げられたオークション出品物に関する見解です。ご指摘にあるニャース原画(カードダスNo.052)については、2024年に米国のHeritage Auctionsにおいて「オリジナル原画(バンダイ/ゲームフリーク、1997年)」とのタイトルで出品予定とされながら、最終的にオークション出品が取り下げられたケースが確認されています。またカビゴン原画については、過去にヤフオク上で「ジャンボカードダス シールダス No.4 カビゴン使用原画」として出品され、最終的な落札価格が約280万円程度に留まった事例がございました。これらの出来事を踏まえ、「もし本当に貴重な杉森氏直筆の原画であれば出品中止になったり安価で取引されたりしないのではないか」との疑問が提起されております。
この点につきまして、まず各事例ごとの前提条件や状況が異なることをご理解いただきたく存じます。Heritage Auctionsでのニャース原画出品中止の詳細な理由は外部からは推し量るほかなく、真贋上の問題で取消となったのか、その他の事情(出品者都合や契約上の問題等)があったのかは不明です。一概に「出品取消=偽物だった」と結論づけることはできません。ヤフオクでのカビゴン原画に関しても、当時の出品ページ記載内容や入札者層、市場認知度など様々な要因によって価格は左右されます。価格が比較的低水準であったからといって即座に真贋を疑うのは早計であり、市場での評価額はその時々の情報環境や需要によって大きく変動し得るものです。
さらに申し上げれば、当社はヤフオクで取引されたカビゴン原画(とされる物)について、公開された情報や画像を入手し吟味いたしました。その結果、本出品中のライチュウ原画と比べて線のタッチや彩色の精緻さに明らかな差異が認められました。カビゴンの例では輪郭線や色のぼかしに粗さが見受けられ、画稿としての完成度が本出品物より劣る印象を受けております。このことから、ヤフオクで出回ったものは本出品物と同一の制作者による作品ではない可能性もあると考えております(極端な場合、複製や印刷物の類である可能性も否定できません)。一方、当社が取り扱っているライチュウ原画は、紙質や画材の風合い、筆致に至るまで確認した上で、明らかに当時の公式原画と一致する品質であると判断しております。実際、本原画に見られる水彩絵具の柔らかなグラデーションや生き生きとした筆致は、初期ポケモン公式イラストに共通する特徴を備えております。こうした観点からも、当社は本作品の出所と真贋に自信を持っております。
改めまして、本ライチュウ原画について総括いたします。当社では出品に先立ち、専門スタッフが現物を丁寧に検証いたしました。その際確認した紙の状態、絵具の乗り方、描線の細密さやタッチは、公式に制作された原画ならではの高いクオリティを備えており、これまで我々が扱ってきた真筆原画類とも整合するものでした。加えて、本作品は信頼できるルートから当社に入荷した経緯がございます。プライバシー等の観点から詳細は差し控えますが、市場に流出した出所不明の品を突発的に入手したのではなく、然るべき流通経路を経たコレクターズアイテムであることを申し添えます。これらの点を総合し、当社として本原画を公式に制作されたオリジナル作品と判断し、自信を持ってオークションに出品しております。
まんだらけは創業以来、コレクターズアイテムの真贋と適正な市場流通に最大限の注意を払ってまいりました。今回いただいたご懸念に対しても、真摯かつ慎重に検討を行った上で、必要と判断した場合には情報開示や出品内容の修正等の対応を取る所存です。しかし現時点においては、当社内での調査結果および長年の実績に鑑み、本原画は杉森建氏による描き下ろし原画であるとの見解を堅持しております。これは決して思い込みや営利目的の強弁ではなく、前述のような裏付けに基づいた判断であることをご理解いただければ幸いです。
最後になりましたが、本件につきましてご心配やご意見をお寄せくださった皆様に御礼申し上げます。当社といたしましても、お客様の信頼を裏切らぬよう今後とも一層の注意を払い、説明責任を果たしてまいる所存です。何か新たな情報やご質問がございましたら、どうぞ遠慮なく当社までお寄せください。引き続き、まんだらけオークションをご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
敬具