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おれの砂金掘り(竹下典宏・由起賢二変)

お馴染みの、劇画天使・竹下典宏aka竹under(テイクアンダー)の由起賢二の墓標です。
辻虫的には、TU(テイクアンダー)のフェチ度が出きっていないのが若干の不満ですが、マニア館の片隅に1週間も売れずに残っていたものを金塊と見る竹SHIT(パク)の心意気は、なんとも汲んでやりたく、砂金探し企画のVol.1として、UPしたいと思います。
作品的には、こんな本が平成になってから出ているという事実と、由起自身による、どう表現していいか分からない後書きに、熱くなりました。


千葉真一好き。
この写真の頭の上にEXITが!!
つくづく非常口のよく似合う男だ。

H1.10.10初版発行

彷徨の大地

由起賢二、この名を目にするだけで思わずテンションが上がってくるという人はおそらく多いだろう。
『野望の王国』は自分にとっての心のバイブル、否、自分にとってのみならず男のバイブルであり、 『野望の王国』といえば由起賢二であり由起賢二といえば『野望の王国』だ。

他の作品は曙出版全3巻の『幕末風雲録』や『帰らざる海』、 原作 滝沢 解の『腐乱地帯』などがあり主に動物漫画が多いというのを知ってはいたが、 『野望の王国』と『獅子たちの荒野』以外、実際に読んだことは無かった。そして今回奇跡的にもこの『彷徨の大地』を入手した。

見ただけで延髄がクラッシュしそうになるほどのあまりのそのジャケのかっこよさに、読む前から期待が高まった。
『野望の王国』1巻の終わりで、犬キチの疋矢の興味をひくために征五郎がチャウチャウ犬とアフガンハウンドを連れて歩くシーンがあり、 二匹の犬へのその濃厚な描写は異常なまでの迫力を受ける。その描写を見るだけでも動物モノを得意としているというのはうなずける。

が、この『彷徨の大地』を読み終えた後、動物漫画という限られた領域の中で、シリアスからコミカル、そしてサスペンスからヒューマン・ドラマまでとこれ程までにさまざまな物語を作り上げるその器用さと圧倒的パワーには改めて衝撃を受けるとともに深く感動した。時にはストロングスタイルで、そして時には静かながらもあつく・・・とこんなに幅広くこなせる人だとは正直知らなかった。

この本の中で特に気に入っているのは、表題にもなっているThe Wandering World[彷徨の大地]で、そのシリアスかつアッパーな展開にはグイグイと引き込まれる。なんといってもあの象の迫力!!激、激凄まじい!ヘリを撃ち落とすし、人を噛み潰すし、銃をいくら撃ちこんでも突進してくるその凄さは赤寺以上。ラストのボロボロに欠けた地球の画がなんとも異常な感じがするが、右肩上がりにひたすら加速していくストーリーが一気に爆発した後のあの画はやけにズシッ!と重く感じる。

それにしても、いつもながら由起賢二の漫画を読むと思わず力が入ってしまう。読み終えたのが真夜中にもかかわらず、ジッとしていられなくてうろうろしてしまった。今、コメントを書いててもやたらとテンションが上がってくる。こんなにあつくさせる漫画を描ける漫画家は他にはなかなかいないでしょう。これぞまさに劇画の神髄!

竹下典宏