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幻の漫画少年 全リスト

文・相澤亮一

「漫画少年」と私(4)
 「漫画少年」について、創刊から昭和26年まで記してみたが、ここで少し脇道へそれて、

一、学童社発行の書籍と「漫画少年」の別冊付録
二、「漫画少年」連載で学童社以外で発行された書籍

について述べることにする。

 漫画は子供の心を明るくする
 漫画は子供の心を楽しくする
 だから子供は何より漫画家が大好きだ
 「漫画少年」は
 子供の心を明るく楽しくする本である
 「漫画少年」には、子供の心を清く正しくそだてる小説と読み物がある
 どれもこれも傑作ばかり
 日本のこども達よ「漫画少年」を読んで清く正しく明るく伸びよ!!

 上の言葉は「漫画少年」の編集者加藤謙一の理想であり、創刊号の目次欄に掲載されている。その精神は、「漫画少年」関係の書籍にも十分に受け継がれている。

一、学童社発行の書籍(抄)
『漫画』
●「バット君」井上一雄著
 昭和23年6月刊 B6判
●「ジャングル大帝」第一集 手塚治虫著
 昭和26年8月刊 四六判変形枡型
 ※初版はカバーにセロハン紙を使用。
●「ジャングル大帝」第二集 手塚治虫著
 昭和27年6月刊 カバー四六判変形枡型
●「銀星」山川惣冶著 特製版
 昭和26年12月刊 カバー 四六判変形枡型
●「銀星」山川惣冶著 普及版
 昭和27年7月刊 カバー 四六判変形枡型
 ※特製版のカバーの絵は普及版の表紙の絵と同じであり、普及版のカバーの絵は特製版の表紙の絵と同じである。
●「ノックアウトQ」山川惣冶著
 昭和27年12月刊 カバー 四六判変形枡型

『読み物』
●「少年のための次郎物語」第一巻 下村湖人著
 昭和26年5月刊 カバー B6判
●「少年のための次郎物語」第二巻 下村湖人著
 昭和27年12月刊 カバー B6判
●「一わのおおむ」石森延男著
 昭和24年7月刊 B6判

『漫画付録』
●「バット君」井上一雄著
 昭和26年正月号付録
●「少年ホームラン王」井上一雄著
 昭和26年2月号付録
●「エンヤコラサノ助」原一司著
 昭和26年3月号付録
●「銀星」山川惣冶著
 昭和26年4月号付録
●「銀星」第二編 山川惣冶著
 昭和26年5月付録
●「新編・月世界紳士」手塚治虫著
 昭和26年10月号付録
 ※「漫画少年」のために書き直したもの。なお昭和27年2月に表紙を変え単行本として出版された。
●「ふしぎ旅行記」手塚治虫著
 昭和26年11月号付録
●「ふしぎ旅行記」(第二編)手塚治虫著
 昭和26年11月号付録
 ※この二冊の付録も表紙を変え「新編・ふしぎ旅行記」上巻、下巻として、昭和27年2月に出版された。
●「漫画のかんづめ」横山光輝、大友朗他
 昭和27年1月号付録
●アメリカ漫画「たこのオットー」
 昭和27年3月号付録

二、「漫画少年」連載で、学童社以外で発行の書籍(抄)

『漫画』
●「鉄の道」山川惣冶 昭和23年刊 鳳文書林
●「カンラ・カラ兵衛」原一司 昭和26年刊 東京漫画出版社/昭和29年 カバー 講談社
●「だんご仙人」こっけいの巻、しっぱいの巻 島田啓三 昭和26年刊 鶴書房
●「漫画大閤記」石田英助 昭和27年刊 カバー 東京漫画出版社
●「ギッタンとバッタン」古沢日出夫 昭和26年刊 東京漫画出版社
●「チョウチョウ交響曲」うしおそうじ 昭和30年刊 カバー 中村書店
●「とんち裁判」中野正治 昭和23年刊 新生閣
●「峠の犬」中島菊夫 昭和16年刊 三光社
『読み物』
●「親鳩子鳩」●「一直線」●「ああ玉杯に花うけて」佐藤紅緑 昭和23年刊 尚文館/昭和3年 講談社
●「初旅坊ちゃん」吉川英治 昭和25年刊 ポプラ社
●「めざめ行く子ら」下村湖人 昭和26年刊 海住書店/昭和30年刊 河出出版
●「海の隼」千葉省三 昭和23年刊 中文館書房/昭和30年刊 カバー ポプラ社
●「海の男」大佛次郎 昭和22年刊 セロハン紙カバー 尚文館/少年倶楽部昭和11年6月号付録 講談社
●「負けない少年」朝日荘吉(吉田甲子太郎)昭和16年刊 三学書房
●「小指一本の大試合」山中峯太郎 昭和18年刊 日本児童教育会

なお、他にも出版されている書籍があるかもしれません。

まんだらけ目録10号より

S25.05.20 6月号
入選漫画「バット君」を含めて8本の漫画を連載!
それに「初夏まんがまつり」「ノックアウトQ」「次郎物語」「一直線」「海の隼」など実に豪華である。
また口絵の樺島勝一のペン画には思わず溜め息が・・・。
将来のためのよい手本と思う。
特集「漫画少年のできるまで」は雑誌のできる行程がわかり易く説明されている。



S25.06.20 7月号
入選作品口絵「読者の描いた野球選手」が8枚載っていて、その中の1枚は兵庫縣、横尾忠則の大下弘選出である。
「ターザン物語」が写真大特集に、当時ターザン映画は大評判で10数回上映された。
「ノックアウトQ」では日日新聞に漫画の懸賞募集があり、章治は応募する。
また、戸村久五郎は、職業拳闘選手の道を歩み出す。
新連載として、「こぐまのころすけ」(はがまさお)「カップ君」(篠崎寿)の二本。「漫画大博覧会」もある。



S25.07.20 8月号
五大感激ものがたり、サトウ・ハチローの少年詩「漫画大博覧会」第2回と五大連載漫画は読者を夢中にする。
「ノックアウトQ」では「映画ファンの夢」という題で章治の漫画が日日新聞に載る。
貯金をしているため、ろくに見られぬ映画のいろんな場面を空想して描いたもの。
礼状や激励の手紙やらで、章治と「漫少」のマークコンクール実施、読者の投票により決めることになる。



S25.08.20 9月号
新連載「赤グローブ・青ミット」32ページ(井上一雄)がとじ込み付録形式で挿入されている。
よく飛ぶ「キリガミヒコーキ」がついた。
作り方と飛ばせ方を参考に「夏休み号」「愉快号」を作り飛ばしてみよう。
「ノックアウトQ」の矢野川章治は毎夕新聞にも三回入選し、近所で評判になる久五郎は東洋選手権保持者の沖野の指導を受け、一緒にアメリカに行くことになる。



S25.09.20 10月号
「赤グローブ・青ミット」(井上一雄)連載第二回。新連載 少年絵物語「とうげの犬」(中島菊夫) 「漫画少年」のマークコンクール入選発表は松崎嘉夫案に決定 夏休みの楽しみ「絵合わせゲーム」 連載漫画 連載小説 読切傑作集 特集童話 等 満載



S25.10.20 11月号
「ジャングル大帝」が遂に雑誌に登場。
予告は全くなかったが、てづかおさむし先生の長編冒険漫画として紹介の記事が載っている。
はじまったばかりなので、四頁ですが、12月号は八頁もかいてくださることになっています。みんなで拍手して手塚先生をおむかえしましょう。
・・・ここで7コマ目のふきだしの言葉をもじって文にしてみました。
「ででたーツ!(ジャングル大帝が)」「もうでたか。あんがいやくそくが早くすみそうだ」(でも手塚漫画はストーリー漫画、はやくすみますかね。)
11月号の他の連載作品については、本誌をご覧ください。



S25.11.20 12月号
連載中の「赤グローブ・青ミット」(井上一雄)「ギッタンバッタン」(古澤日出夫)「ノックアウトQ」(山川惣治)をこえたすばらしい手塚作品。
日本で初めての長編漫画「ジャングル大帝」多色刷りカラー口絵入りで十頁にわたる連載である。
パンジャ王家をつぐために子どものライオンを諭し、アフリカへ帰らせる。
母親がきびしく子どもをしつけるシーンの展開。
現代の私達人間には恐らく不可能な業であると思いますが、いかがでしょうか



S25.12.20 1月号
「だんご仙人」「カンラカラ兵衛」「こぐまのころすけ」「ギッタンとバッタン」等、充実した連載漫画がある中で やはり「ジャングル大帝」が異彩を放っている。
カラー口絵入り十八頁の長編連載、アフリカへ渡る子どもライオンが遭遇する未知の世界がおもしろおかしく見事に描き出されている。



S25.12.30 お正月大愉快号
「漫少」の読者の希望は付録よりも漫画や読み物の多い厚い雑誌。そこで、「バット君」の単行本二冊目として発行予定のものを別冊大付録にした。
連載漫画は10編、どれもこれも優れた傑作ばかり、漫画を見るなら「漫画少年」という評判が高くなる。
また、口絵「漫画家から読者への年賀状」というすばらしい企画も載っている。
「とうげの犬」終わり。



S26.01.20 2月号
少年ホームラン王」(井上一雄)がまたまた別冊大付録としてついた。
新連載は田河水泡の「まんがのおじさん」である。
さて、「ノックアウトQ」ではロスアンゼルスに渡米した戸村久五郎は、殺人ブラックとの12回戦に 惜しくも敗れてしまった。しかし、テッド老人の好意でアメリカに残ることになる。
日本にいる唐沢製版所で働く章治のその後はどうなるのだろうか。
読者の投稿漫画は「カラ兵衛」の原一司先生が今月号より指導に当たる。