夜のひばりHIT
K・ケン
K・ギマンはほとんど正体不明のマンガ家です。
単行本も「夜の学校に幽霊赤ちゃんが!」と「ロリコンちゃんの性教育」の2冊ほどしか確認されておらず、
あとは、川島のりかずの弟では?(K・ギマン→けい川島ぎまん義満とか?)という未確認情報があるぐらい。
このK・ギマン=川島のりかず弟説、僕の中では確定路線です。ペンネームの問題でなく。
なぜなら、この二人、少年少女マンガではタブーである、ベッドシーンを作品に取り込んでいる稀有な作家だからです。
それ故、兄のマンガを習作としていた弟が、特に問題意識も持たないでエロを作品の持ち込んだのでは、と僕は推測するのです。
ひばりHITコミックスの読者層って小中学生狙いだと思うんですけど、
低年齢向け書籍はSEX描写(“お色気”描写ではない直接的なもの)って自主規制されてるんですよ、普通。
今や娯楽としての要素が強くなってしまっているSEXですが、
人間にとって子孫を残す為の最重要行為であり、子どもに興味本位でさせてはいけない秘め事な訳です。建前としては。
実際はPTAとかのクレーム対策だと思うんですけどね。
やっちゃいました。恐れ知らず。
あううう〜
行為の最中、僧の読経に苦しみ出す悪霊。
あううう〜と表情一緒。
ネット検索すれば簡単にエロ情報が入手でき、性の先進国となりつつある現在の日本と違い、
ひばりHITコミックスが書店に並んでいた’80年代、エロ情報が乏しい小学生にとってSEXって未知のモノだし、周囲もちゃんと第二次性徴が終わるまで(笑)、隠蔽するよう心掛けていたんです。
ところがですよ、この二人、ひばりHITというお子様向けフォーマットにおいて男女関係を軸とした作品を発表してるんです。それもヤキモチ云々のカワイイものでなくドロドロなヤツ。当然の如く、そこには肉体関係も描かれる訳ですが、一応、川島のりかずは直接的な描写は避けています。シルエットで描いたり、行為の後男がタバコを吸ってるとか。まぁ、意味が分かるおませさんだけ分かってくれと。
画風の基本は日野タッチ
なんか生まれ方がリアルで嫌
そこで問題になってくるのがK・ギマンのひばりHITコミックス「夜の学校に幽霊赤ちゃんが!」です。
この本、裏表紙になんか溶けてる化け物と裸の男性が抱き合ってるんですけど、コレ、行為途中です(笑)。
この時点で早くもOUT!って親指立てたい気分になります。
内容をごく簡単に説明すると、とある学校に幽霊赤ちゃんが出没し、
プレイボーイの男性教師・倉田を中心に様々な怪異が巻き起こる!といったもので画風も日野日出志の劣化コピーみたいだし、
ストーリーも特に目を見張る展開はありません。
但し、それは大人が読んだ場合。
お子様向けマンガにしてこの倉田、やたら女に手が早く妊娠させちゃったりする人なので、濡れ場を描かない訳にはいかないんですよ(苦笑)。
この時点でマーケティング間違ってる気がするんですけどね。
作品中2回出てくるベッドシーン、1回目はシルエットとあううう〜とシーツを掴む女生徒の手程度(笑)だったんですが、
クライマックスで出てくる2回目のソレでは、とうとうシルエットのボカシじゃなく裸での絡み合い、しっかと描いちゃいました。
しかも、女(幽霊だけど)が上乗ってるし!さらに途中で溶け出すし!
・・・っーか、クライマックスがヤってるシーンから展開されるってコト自体、ひばりマンガとしてどうよ!?って思うんですけどね、僕は。
そんな子いないと思うんですけど、もし、万が一ですよ、これを読んで性に目覚めたボクちゃんがいたりしたら、と考えると怖いです。なんかネクロフィリアとか特殊な性癖も同時に目覚めちゃってたりしてそうな気が・・・
―蛇足―
「夜の学校に幽霊赤ちゃんが!」がひばり書房から’88年7月、前述の「ロリコンちゃんの性教育」がスカイラーク社から同年10月に発行されています。で、実はこのスカイラーク社ってひばり書房の事。スカイラーク=ひばり、まんまなんですけれども(笑)。
って事は「夜の学校に幽霊赤ちゃんが!」のエロ描写によってK・ギマンにエロマンガ家として道が開けた?とか深読み出来るのも、また一興だったり。