死因:ポストの角にガンってやった

どうもこんにちは。寒くなると鼻の頭から冷えていく中野店白石です。 今日はこちらの漫画をご紹介。 吸血鬼すぐ死ぬ/盆ノ木至(秋田書店) 既刊4巻 まずは1巻表紙とともにキャラと内容を簡単に説明いたしましょう。 白石122 (1) ロナルド(赤い服のやつ):吸血鬼退治人(バンパイヤハンター) ドラルク(それっぽいやつ):吸血鬼 ジョン(左下にいるやつ):ペットのアルマジロ で、この吸血鬼・ドラルクが 白石122 (2) 白石122 (3) すぐ死ぬ。〔原因:ドアでバーンて挟んだ〕 で、砂になったあとすぐ再生するんだけど 白石122 (4) すぐ死ぬ。〔原因:小学生にスネを蹴られた〕 豆腐メンタルなので何かにビビったりしても死ぬ。寝転んでて顔にスマホ落としたりしても死ぬ。 白石122 (5) 日常生活のあらゆる場面で死ぬので、途中からもはやネタとしては使われず背景の一部になっていく仕様。 と同時に死亡時の砂になる擬音「スナァァァ」と時折使われる再生時の「ァァァナス」が次第に癖になってきます。 この吸血鬼・ドラルクと彼を退治しに行ったハンター・ロナルドが、紛れ込んだクソガキに翻弄されたすえドラルクの居城がぶっ壊れるというオチの第一話から始まります。まあ構成自体は王道なギャグ漫画ですね。そして第二話で、家を失ったドラルクがロナルドの経営するハンター事務所にやってくることで舞台が整います。基本的に一話完結で、このコンビがあらゆる面倒事だの吸血鬼退治だのに巻き込まれるドタバタ劇が中心です。 ちなみに二人のいる事務所の所在地は新横浜だそう。 ……ん?新横浜? さらにロナルドは副業としてハンターの経験を生かした自伝小説『ロナルドウォー戦記』を出版しており(そこそこ売れてる)、巨大な斧を引きずって続編原稿の進捗を聞きに来る担当編集者・フクマさんの影に怯える日々を送っています。 ……?? かつハンター業というのは人気商売のため、近所の人たちに媚びへつらったりどうしょもない依頼を断れなったりと、なかなか世知辛い環境をサバイブする生活なのです。 ………??? えーと、ハンターVS吸血鬼というファンタジー設定で日常系…といえば丸く収まるんでしょうかこれは…。とにかく、非現実的なアレコレと日常あるあるが絶妙にミックスされているわけです。 作中での吸血鬼とは空想の産物ではなく、主に「血を吸う」「吸血による感染で仲間を増やす」「特殊能力を持つ」といった性質をもつ生物群を指し、ドラルクのような人間型から動物・植物型までさまざま。人の場合は退治・捕縛、動植物だったら駆除という感覚で社会に認知されています。吸血鬼よけスプレーみたいなのがあるので、下等な種族は害虫のニュアンスもある模様。 全編通してやたら生活感が滲んでいるのが特徴で、かつ本来カッコイイ肩書きのはずのキャラ「ハンター」と「吸血鬼」がどちらも非常にみみっちい。そして情けない。 たとえば、第一話の冒頭で“真祖にして無敵”と民衆が恐れていた吸血鬼・ドラルクは 白石122 (6) 白石122 (7) ただ単に押しの弱い引きこもりのゲーマー。作者の嗜好が反映しているのかどうなのか、のちにどんなクソゲーもクリアしてしまう伝説のクソゲープレーヤーというのが明かされます(どうでもいい)。なのでもちろんゲームハードが故障したりセーブデータが消えたりするとショックで砂になって死にます。で、一方のロナルドは 白石122 (8) 白石122 (9) なんともダサい。二人して主人公とは思えぬザコさです。普通なら嫌悪感が勝ってしまいそうなんですが、ツッコミ(主にロナルド)のセリフの根底にどことなくお人好しっぽい雰囲気があり、通読しても別に好感度は下がらないから不思議。 では一通り説明が終わったところで、すごく好きなシーンをいくつか。 白石122 (10) 白石122 (11) この「蓋について怒ってんだよ!!」っていうツッコミがツボ。 あと何気にドラルクがスプラトゥーンみたいなゲームやってる。 次、これは吸血鬼≒害虫化した生野菜に家を占拠される回(この説明が既に若干意味不明)。 白石122 (12) 白石122 (13) 「ウワッ セロリの威嚇行動」。このコマは週一くらいで仕事中に頭をよぎります。つーかどんだけセロリ嫌いなんだよ。 それから 白石122 (14) 「絶対殺すセット」というネーミングが好きすぎる。スプレー+物理攻撃の装備って確かにそうだよな。 あと 白石122 (15) 代本板…代本板って………!!!!!20年ぶり位に存在を思い出したし小学校の図書室以外でこの単語初めて見た!! こう、細かい言葉のセンスだったり差し挟まれた小ネタのクリーンヒットが多い気がします。 “吸血鬼”と称されるキャラクター達も独特で、「吸血鬼・Y談おじさん」「吸血鬼・野球拳大好き」「吸血鬼・マナー違反」だの、それただの奇人・変人・変態もしくは困ったさんの群れじゃねーかという始末。 その中で唯一まともなのが実は、ドラルクのペット・アルマジロのジョン。「ヌーヌー」としか喋らないものの、持ち前の優しい性格とザコ二人に向ける純真無垢な健気さでみんなに愛される、隠れたヒロインキャラです。どの話もハイテンションでボケとツッコミのペースが速いなか、たまーにジョン回が挟まれるとほっこりするのもまたいい塩梅。 白石122 (16) 白石122 (17) …しかしなぜアルマジロ? 読み進めるうちになんだかしっくりきちゃうので、改めて説明すると違和感が際立つ…。 *** ここから先は 腐女子 の提供でお送りします ので どうぞ 読み飛ばしてください*** そんで…読んでる途中でふと気付いてしまったんですが……うっっっっっすらBLくさいんですよ……。 まぁ基本イケメン?だし少年誌で女子ウケしそうな絵柄だよなってのはあるとして、しかしなんでだろと思って状況を概観してみたら ・男が男の家(仕事場)に転がり込む ・とてつもない生活感 ・基本的に仲が悪い設定 これらはすべて我々の餌であり糧となります。そんなつもりはなくても気づいてしまったらターンエンドです。 あとそもそもギャグ漫画なので、ネタを作る以上当然っちゃ当然なんですが ・お互いのみっともない、もしくはカッコ悪いところを惜しげもなく晒す 多分これが「それっぽさ」の決定打に。この根本的な関係性の気兼ねなさってのは脳内で巡り巡って謎の信頼関係に近いニュアンスに変化し、傍から見ててあーいいコンビだなって思い始めたところに 白石122 (18) 健気なジョンですよ。上のシーンは留守番中に家事をやろうとして失敗したジョンを、全力で二人がフォローするコマ。なんなの?ジョンは子供ポジションなの??(心の叫び)ペットの域をとうに越えたこの大事な同居人のためなら、ロナルド・ドラルク両方とも本気で怒ったり心配したり、敵に反撃したりするんです。この「何か別の要因で二人のベクトルが同じ方向を指す」というのもなんつーか、ツンデレのツン:9デレ:1のデレ部分に似たスペシャル感というかなんというか…何言ってんだろなさっきから……ダメだこれやめときゃよかった………。 もういいやこの際なんで「そう思っちゃった」場面の画像貼りますね。 白石122 (19) 白石122 (20) なんか…わかるかな…この…同棲感……うん…。 あとこれ。 白石122 (21)  長命な高等吸血鬼がみな料理上手である設定が割とまともに説明されているコマなのですが、大事なのはそこじゃねぇ、腐女子センサー(通称フジョセンサー)に引っかかるのは“いけすかない同居人に認めざるを得ない特技がある”という一点のみだ!!ええ、私にはそう見えました。 かといってじゃあ作中でこういう絡みが増えればいいかってーと全くそうではなく、あくまで「今のまま」の行間や余白がとても大事なんです。これはどんな作品にも言えることで、少年誌系に関してはあくまで少年漫画を貫き通していて欲しいのです。本来意にも介さないはずの部分に沸き立つところは腐女子の敬遠される理由の一つではありますが、もうこれは本能の一部というか女子ヲタ独自の感性に因るところです。男性向けにおけるきゃわゆいおにゃのこ達が直接的な“形而下の萌え”であれば女性向けにおけるこれらは餌と糧を元にした“形而上の萌え”ともいえます。どちらも非常に美味しいもので甲乙つけがたく、まあどっちも同じ穴の貉ですけど男女で若干頭の構造が違う場合があんだなーくらい の認識で十分だと思います。 えー…で、話を戻すと、こうして我々がいくら賑わっていようと決して迎合しない、作品そのものの持つギャラリーへの無関心さが、コンテンツとして強固であり続ける魅力の一つになっているわけです。またこのあたりの感覚が、趣味嗜好を前面に打ち出した商業BLと二次創作ジャンルの違いなのかも知れません。 要するに「このままこっそりニヤけながら眺めていたい」んですね。という訳で“こっちサイド”から見て今のところ一番にニヤけるのは、各キャラの人格が入れ替わる第40話なんで百戦錬磨の貴腐人の皆様そこんとこよろしく。 しかしあれだ、こないだ発売した4巻にとらのあな描き下ろしSD缶バッジ付限定版と特典クリアファイルが出た事実を加味すると、すでに鼻の利く女子ヲタの皆様とそれを察した編集ないし専門店が動きつつあります。知名度がじわじわ上がってゆく今が、ファンとしては一番楽しい時期なのかも知れません……という考察で締めても許される気がしますのでそうします。 あ、ちなみにクリアファイルの絵柄良かったんで貼りますね(チョロい)。 白石122 (22) ドラルクと一緒に悪だくみをしているのはロナルドの同級生・半田。手つきが無駄に丁寧。こいつも大概狂ってます。あとすべてを知っているらしいジョンがやっぱりかわいい。 *** まぁ、単純にギャグ漫画としてあまりダレずにちゃんと続いているっていうのと、秋田書店が少しずつ推し始めている作品ってのだけは覚えていただけると嬉しいです。 あとホモくせえとか言いましたが登場する女子だって可愛いですよ。パイスラと絶対領域コンボの制服でお菓子に釣られて床下から出てくる警察官のヒナイチ(左)とか、「吸血鬼・野球拳大好き」の術中にありながら真っ先に下着を脱いだ勇ましきハンター・実家はマタギのマリアさん(右)とか。あと個人的にはハンターのギルド兼たまり場であるバーのマスターの娘さん(下)が好きです。もっと登場増えてほしいです。 白石122 (23) 白石122 (24) 白石122 (25) それから、第一話で話を引っ掻き回したクソガキ。 白石122 (26) どういうわけかレギュラー化し、2巻3巻4巻としばしば登場しては舐め腐った態度でフルバースト、気付いたら表紙の見返しにカラーで載り続けている事実なんかも実際のコミックで確認してほしいところ。クソムカつくけど多分コイツ、主人公二人の「天敵」にして狂言回しなんだろうな。 白石122 (27) 最後に、既刊すべての表紙絵を貼って逃げます。 白石122 (28)白石122(29) では今回はここら辺で。 通販リンクはこちらから。 (中野店/白石)

中野店 白石

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