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インタビュー2022.12.17

「あんうん」吐遮物愚劣翁先生特別インタビュー

では簡単な自己紹介からよろしくお願いします。
(吐遮物愚劣翁)ペンネームは、吐遮物愚劣翁(としゃぶつぐれつおう)です。結構変な名前なんですけれども、特に本名などは公開していないです。一応映画を撮っており、脚本の制作をしています。代表作は、大学在学中に撮った『トオリ雨』という作品で、Amazon Primeで公開中となっております。
吐遮物愚劣翁 プロフィール

芸術家•漫画家•映画監督
幼少期よりホームビデオで映画を作ったり、漫画を描いたりする。
高校生の頃に版元へ持込みなどいくが、どうも絵が古いなど言われる。
その後は映画系の大学へ進み、卒業制作にて監督した映画「トオリ雨」がいくつかの映画祭で受賞。
現在もAmazon Primeで配信中。
先日、カラーで初めて漫画を描いてみた
Twitter: @toshyabutu

ペンネームの由来は何ですか。
(吐遮物愚劣翁)子供が二人おりまして、下の子が高野山に行った時にすごいゲロを吐いたんですよ。その翌日ぐらいに僕もすごいゲロを吐いてゲロまみれだったので、これでいいかと思ってつけました。
よく見ると吐瀉物の「しゃ」 が遮蔽物の「しゃ」ですよね。
(吐遮物愚劣翁)あれは、一応仏様の「遮」なんですよ。「物」を「仏」にしようかなとも悩んだんですけど、それはやりすぎかなって。愚劣翁は、5年前になんとなくふと出てきてメモしていた言葉で深い意味はないんですけど、それぞれの言葉を合体させて出来たっていう…。
音が気に入ったというような。
(吐遮物愚劣翁)そうですね。ほとんど音で決めたというような感じです。
結構最初ペンネームを見るとぎょっとしました。
(吐遮物愚劣翁)今年の9月と去年の12月にグループ展をしたんですが、やっぱり「一番変な名前だね」とよく言われました。
映像を幼少期から撮られていたそうですが、幼少期の体験などありますか。
(吐遮物愚劣翁)お墓でこけて頭を12針縫ったんですよね。その時に何かに押されて転んだ記憶があって。それが結構記憶に残っています。映画に関しては携帯とかもない時代なので、8mmテープのビデオで友達を撮影したり漫画を描いたりしていました。7歳から8歳ぐらいの時にはもう漫画家になりたいなあと思っていました。
当時読んでいた漫画とかはありますか。
(吐遮物愚劣翁)当時は『浦安鉄筋家族』とか。
ギャグ漫画なんですね。
(吐遮物愚劣翁)そう、当時はギャグばっかり。あと、『星のカービィ』とか『コロコロコミック』とかがすごく好きでしたね。『うちゅう人田中太郎』という2000年初頭の手が伸びる宇宙人の漫画などです。『別冊コロコロコミック』の漫画のキャラクターを描いたら、雑誌内のグランプリに選ばれて載ったことがあります。その時に『コロコロ』の財布なんかも貰ったりして。
幼少期に撮った印象的な映像などはありますか。
(吐遮物愚劣翁)『ポケモン』を切り取って動かして遊んだり、殺人事件ごっこをしてそれを撮影したり。
その頃から映画を撮るという意識でカメラを使っていたんですね。
(吐遮物愚劣翁)そうです。劇映画を撮ろうという意識でやってはいました。結局30年ぐらいそのようなことをやってるなと今思います。
先生にとっての創作とは何でしょうか。
(吐遮物愚劣翁)何か動いてないとそわそわするので、自分を安定させるためにも作ってるというか。
動いていた方が安定するんですね。
(吐遮物愚劣翁)そうですね。何か作っていないと安定はしないというか、ここ5年は脚本を作ったりはしていたんですけど、映画も撮れていないので、それ以上のことはしたいという気持ちはありました。17歳ぐらいの時に大阪から東京へ漫画の持ち込みに行きました。だけど、その出版社で連載している漫画をほとんど知らなくて、単純に一番売れている出版社に持ち込みをしました。子どもの頃から「つげ」とか「ガロ系」とかの感じが好きだったので、『コロコロコミック』と『三丁目の夕日』、『ドラえもん』に『パーマン』なども好きでした。「バトルでどーん」とかはあんまりよく分からなかったです。だから、当然絵も内容もうちの雑誌とは合わないねと言われてしまって、その辺りから映画の方が楽しいなと思って漫画をお休みしていました。そこで大阪芸大に通いながら卒業制作を制作したという感じですかね。
西岸良平先生は櫻井先生も好きみたいですね。
(吐遮物愚劣翁)実家に帰ると引っ張り出してずっと読んでいました。 コンビニの廉価版ってあるじゃないですか。あれも当時お金がなかったので、ブックオフなどで大量に買って読んでいました。
今ご自身の生活はどうでしょうか。
(吐遮物愚劣翁)先月までは書店員だったんですけど、子どもの送り迎えだったりとか、熱が出たりとか、休むことがずっと続いて。休みがちだと正社員としてはどうなのと言われて、結局辞めざるを得なくなって辞めました。今月頭に一日だけ食堂のバイトをしたんですけど、今年の2月ぐらいに足にガラスが刺さって12針ぐらい縫ったんですよ。それのせいで立ち仕事が全然できなくなってしまって、そこも4時間行って一日で辞めてしまって。そこから何にも働いてないんですよ。だから人一倍働くということが大変で…。そんな感じで日々倹約しながら生活しています。作品を作ると精神的には安定するので助かります。
絵を描いていて影響を受けたアーティストや考えていることはありますか。
(吐遮物愚劣翁)絵柄についていえば、多分20年ぐらい前にハマったカートゥーンネットワーク・ケーブルテレビなどからすごく影響を受けていると思います。『ジョニー・ブラボー』、『おくびょうなカーレッジくん』、『デクスターズラボ』、『パワーパフガールズ』など。あの辺が好きで本当に一日中見ていて、今もたまに懐かしんで見るんですけど。あの絵柄は染み付いているんだろうなと思います。もっと大きくなってからは 『ザ・シンプソンズ』や『ファミリー・ガイ』、『サウスパーク』のアメリカのああいう感じにハマって、それに藤子先生のSF短編集など、絵柄に関してはそこら辺の影響があります。内容に関しては、ヒッチコックがサイレントから入ってトーキーに変わった、いわゆる、白黒からカラーに変わったという映画史があるんですけど。漫画も個人的にはサイレントで表現できるようになってからトーキーにしていこうかなって勝手に目標を立ててやっている次第です。
次回作の『ニュータウン』もサイレント風味の漫画ですね。
(吐遮物愚劣翁)絵で表現したいというのもあったので、やってみたという感じですかね。
『ボヘミア』ので気になった作品はありますか?
(吐遮物愚劣翁)大山海先生は元々ずっと好きで「トーチ」からずっと読んでいたので、個人的には一番面白い作品のように思いました。ただ、他ではない作品がたくさんあるので『ボヘミア』は面白かったです。

大山海先生作『庭のおもろみ』(『ボヘミア』vol.1より)

吐遮物愚劣翁先生、本日はありがとうございます!
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