これが最も影響を及ぼす有名改変エピソードがこの第46話「死に神の化身」でしょう。
ドクター・キリコ初登場のこのエピソ−ドが初めて単行本に収録されたのは、少年チャンピオンコミックス17巻。
そのために単行本ではドクターキリコの初登場は9巻に収録の第56話「ふたりの黒い医者」になってしまったのです。
ドクター・キリコは第56話以降、
第106話「浦島太郎」(9巻に収録)
第79話「弁があった!」(10巻に収録)
第146話「99.9パーセントの水」(11巻に収録)
第177話「死への1時間」(13巻に収録)
第128話「最後に残る者」(13巻に収録)
に登場。
そのために「死に神の化身」で展開されるBJとドクターキリコの初対面の描写は、すべて改変せざるを得なくなったという顛末。
しかし雑誌連載順での収録となれば、ブラックジャック大全集ではこの初対面の描写が初出に近い形で収録可能になるという訳ですが、それだけなら“第46話「死に神の化身」は「恐怖菌」に改題して収録。 ”とアナウンスされることはなかったでしょう。
このエピソードの改変にはもう一つの大きな理由があります。
「恐怖菌」は“ベトナム戦争で使用されずに撤去した細菌兵器を輸送中に乗員たちが細菌に感染”というのが発端となるエピソード。
「死に神の化身」は“原子力船の放射能漏れによる乗員たちの被爆”が物語の発端です。
放射能をによって起こる各症状と処置を、すべて細菌兵器による症状と処置に差し替えることで、違う病気を扱った同じプロットの作品に再構成され「死に神の化身」は「恐怖菌」へと改変されました。
定かではありませんが、当時でもデリケートな問題であるために収録が見送られ、単行本収録可能な形への改変作業によりこのエピソードの収録が遅れたのではないかと言われています。
今月発売の第46話「恐怖菌」収録のブラックジャック大全集3巻は、菌と書いてある時点で、初出のままの掲載はできなかったという事を示しています。
ですが「死に神の化身」から「恐怖菌」の改変は見事です。
若干のコマの組み換えや書換えはありますが、ほぼセリフの入れ替えのみで別エピソードを組み上げるという天才の所業を評価する意味でも、巻末の資料ページでじっくりと取り上げて欲しいところです。
(担当 國澤)
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