まんだらけ中野店 3F 本店2 SAN値直送!? 江戸クトゥルー絵巻「伴天連XX」ご紹介

今回紹介するには、エンターブレインファミ通クリアコミックス「伴天連XX」ですXXでダブルエックスと読みます。ガンダムと一緒です。
ファミ通クリアコミックスは最近発刊されたばかりのレーベルで、ネット上で連載されているファミ通コミッククリアというウェブ雑誌に掲載されてる作品を単行本化したものです。

さてこの「伴天連XX」の肝心の中身はというとなんと江戸時代が舞台のクトゥルー神話アクション時代劇なのです。
クトゥルー神話といえば、いわずとしれたラブクラフトによって創作されたホラーダークファンタジー。
不気味かつおぞましい古き神々とその化身や救いのない世界観は特徴的で、よく漫画やゲームの題材にされることでも知られています。
最近でも「這いよれ！ニャル子さん」や「うちのメイドは不定形」等、ライトノベルの題材としてクトゥルー神話を用いることがちょっとブームとなっております。
クゥトルー神話系の作品といえば作品全般に流れる黒く陰鬱なストーリーが特徴ですが、この作品は舞台を江戸時代とすることで重苦しさ緩和し、なんでもありなエンターテイメント的な作品に仕上がっております。

旧き神の1人（？）ダゴンさん江戸に降臨！

主人公は左手にナイトゴーントとという化け物を宿した強面の豪傑「無命獅子緒」。クゥトルー神話には珍しい完全武等派の豪傑といえます。
左手は完全にナイトゴ－ントという化け物になっており、自分にも制御不能という点では寄生獣みたいな存在に近いです。
あくまで神の手下でしかないナイトゴーントが味方（？）という設定もなかなか玄人ごのみの設定ですね・・・

主人公とナイトゴーントさんナイトゴーントさんの必殺技はくすぐり（本当）ただし相手は死ぬ

また、それらを取り巻くキャラクターもかなり強烈です。
テーマそっちのけでタイトルの元ネタとなっている「フランシスコ・ザビエル・10世」。
ザビエルの頭文字のXをとって伴天連XXと読ませるセンスに脱帽です。キャラクター的には「戦国BASARA」のザビーのようなザビエルというキャラを勝手に拡大解釈したキャラクターでザビエルファンにもご満足いただけるかと（？）

これが噂のザビエル10世いつ子ども作りしたよザビエル…

他にも白魚が合体して現れるクトゥルー的な謎の存在として異彩を放っている「平賀源内」などエンターテイメント的な面白さに溢れております。
舞台が江戸ということで、クトゥルーでは御馴染みのクリーチャー「深きもの」が河童として出てきたりと工夫を凝らした遊び心も楽しいところです

カッパさんぷよぷよにはでてきません

作者は週間少年チャンピオンに突如現れ、ヤンキー変身アクションというほかに類を見ないテーマで読者に強い衝撃を与えた「悪徒－ACT」の作者、猪原賽先生と横島一先生コンビ。
一部からは「覚悟のススメ」の再来かと期待されながらも恐れられた「悪徒－ACT」の方は、残念ながら実にチャンピオンらしい打ち切り漫画となってしまいましたが、今回はウェブ連載に舞台を移し存分に暴れまわってくれています。
現に連載陣の中では珍しい完全オリジナルの作品ということもあってすごく浮いております。

そんな「伴天連XX」ですが江戸時代という比較的慣れ親しんだ舞台に、クトゥルーというどこまでも深いテーマをうまく融合させた快作となっております。
クトゥルー神話は漫画やゲームにし易い題材なので、関連の作品は多く存在するものの、この作品ほど舞台が江戸時代という変化球を投げつつも真っ向にクトゥルー神話の狂気と恐怖について踏み込んだ作品もなかなか無いのではないでしょうか。
クトゥルー神話だけでなく、漫画としてのエンターテイメンとしてもかなり練られたものとなっているのでプチクトゥルーブームが来ているいまこそ読んでみては如何でしょうか?
現在もファミ通コミッククリア内にて連載中ですのでそちらのほうも注目してみてください。ただしSAN値チェックにはお気をつけて・・・
本店2にて販売しております。

(担当黒田)