2009/7/7 21:00掲載
まんだらけ 中野店 4F 大予言

卍の禁止


A「ドイツ政府が世界から「逆卍」マークを排斥するやうな提案をしてゐるやうですが、あれ程バカげたことはないですね。
そもそも卍は文明の発祥とともに洋の東西問はず多くの地域で使用されてゐた神聖なシンボルなのですよ。
それをヨーロッパでナチスが一度使ったからと云って、何でそれとは無関係の仏教やヒンドゥー教のものまで禁止されなければならないんですか。
イスラエルが云ふならまだしもドイツが云ふのだから腹が立つ。
ナチスってのはてめェの国から出たんだらうが、自分で使って置いて、こんどは都合が悪くなったら他が使ふのも禁止だと?
フザけるのもいい加減にして欲しいですね」

B「しかし、ドイツが禁止しようとしてるのはあくまでもナチスの「逆卍」に限ってでせう?
だったら一般の卍は左向きのものだから問題ないんぢゃないんですか」

A「それは誤解です。
卍には実は右も左もないんです。左が光が右が闇、とかナチスのせゐでそんなイメージが流布してゐますが実際はどちらも昔から使用されてゐます。
昔、三重県のある寺院に行ったときに寺務所の瓦が所謂「逆卍」になってゐたので不思議に思ひ、住職さんにあれはどうして逆なんですか?と聞いたんです。
住職によると昔の寺院では「逆卍」が多かったがいつのころからか左向きの卍が主流になったといふことでした。
つまり日本に於いてすら卍の左右についての厳密な区別はなかったのです」

B「それでもナチス以降やっぱり「逆卍」は不味いやうなイメージがありますけどね。
普通の左卍だけで良いやうにも思ひますけど」

A「ぢゃァ今日本で使用されてゐる神社仏閣の逆卍はすべて直さなければならないと?
有名どころでは秋田の彌高神社なんかさうですよ。他にも寺院でも右卍を使用してゐるところもさっき云った話も含めて色々あります。
それらの社紋だったり寺紋だったりをすべて禁止するとふのは如何なもんでせうか」

B「う〜ん…」

A「更には「逆卍」のみならず普通の卍についても自粛する風潮があります。
たとへば、ドイツに公演に行った阿波踊りのチームが阿波の殿様の家紋の卍紋を外した衣装で踊ったといふハナシもありますし、少林寺拳法も仏教的な意味で使用してゐた卍のシンボルの使用を中止してゐます。
さうやって最終的には逆卍はおろかすべての卍が地上から消されるワケですね。
ドイツ政府がやらうとしてゐることはシンボルの選択についての全体主義であって、その独善性はナチスと変はりません。
結局は何にも変はってないんですよ。西洋至上主義的な価値観の押し付け。
文明の指導者といふ自惚れ。
ウンザリです」

B「確かに、シンボルについて全面的に使用禁止するってのは前代未聞ではありますね」

A「シンボルそのものには多様な意味があり、それには正負両方の側面があります。
負の面だけとりあげてシンボルそのものを否定するといふことは非常に愚かなことです。
形象といふものは非常に重要なもので、とくに十字、螺旋、卍、などのシンプルでプリミティヴなシンボルには非常な力があって本来は広く人々に利益をもたらすものです。
さういふ形象のエネルギーといふものはこれから解明されて行くかも知れませんが、なんであれ政治的な意味合ひで一律に、しかも世界中で禁止しようなんてファッショは許されるものではありませんでせう」

B「卍に関して詳しい解説の書などありますか」

A「現在、ご紹介できるのは『図説 世界シンボル事典』八坂書房と『世界シンボル辞典』三省堂の二冊です。
卍に関しては後者の方がかなり詳しいですね。
ご興味があれば是非御覧下さい。
さうすればドイツ政府の反文明的な蛮行と、それに対するワタクシの義憤も少しは理解して頂けるでせう」



(担当 山口ケン)

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