まんだらけ渋谷鳩山郁子作品「ウィンター・ヴァインダーズ」＆「コリンとノルウェイメープル飛行隊」入荷

鳩山郁子「ウィンター・ヴァインダーズ」特装版
状態：並（美品）

鳩山郁子限定BOX「コリンとノルウェイメープル飛行隊」
状態：並（開封）

本当に本当に好きなものは一人でこっそり愛でたい＆それを語っている時の自分がどうしようもなく気持ち悪いので
誰かにそれを薦めたり紹介することは滅多にしないいやらしい性格の担当です。
なので。こういった理由から一番好きなのに自分が人に一番薦めない作家さんがこのお方。

ジャンル問わず、昨年のマイベストブックは内容・装丁全てにおいて間違いなく鳩山さんの限定作品だった「タゲレオタイピスト銀板写真師」。
なんでこんなに素晴らしい作品が500部限定なの…？と思いつつ心のどこかでニヤリとした
のも事実ですが…。
発売後即完売したこの「タゲレオタイピスト」が青林工藝舎から改めて刊行されることが決定。
やっぱりファンとしては単行本化は嬉しい。ここは素直に喜ぶべきところだっ！と思っていたそんな折。
普段は滅多に入荷しない鳩山さんの限定作品がタイミング良く2作も入荷しましたのでご紹介します。

2作とも直筆サイン入り限定BOX使用の作品。

2007年12月に発行された描き下ろし「コリンとノルウェイメープル飛行隊」はメープル（楓）の翼果をテーマにしたお話で、12Pの漫画と
カラーイラストポストカード、モノクロポスター、外国切手2枚のセット。
ポストカードの印刷が非常に美しく、箱にある翼果の箔押しがアクセントになっています。

「ウィンター・ヴァインダーズ」の方はというと。
2006年12月に制作・発表された鳩山さん初のオールフルカラーブック。
いつも透明水彩を使うイメージがあるのですが本作には珍しくカラートーンを使用されています。
Winders（ヴァインダーズ）とは糸巻きのこと。
特装版の使用として鍵穴のスタンプが押されたWindersが絵本とそれを包むトレーシングペーパーの間に挟まっており、赤い紐と銀色のリボンが結ばれて小さな箱に収められ、さらにそこにリボンが掛かっているという懲りよう。

こんなにも使用する紙や飾りの素材、印刷技法、箔押しする書体にこだわりぬいた作家さんを自分は他に知りません。
そしてこんなにも一度開けるとなかなか元の美しい形に戻せない本も自分は知りません。。
外側の何気ないビニールやそれを止めるシールなど隅から隅まで全てが作品の一部であり、それを一つ一つ先生ご自身がラッピングされています。
作品のテーマも「人」より、「物」に重きを置く鳩山さんにしか作れない本たち。
鳩山作品を「漫画」と呼ぶことに抵抗を感じる所以はここにあります。
開封して飾るのも素敵ですが、丁寧に元に戻して特別な日にそっとまた開封して眺めるのがオススメの鑑賞法。

人には教えたくないのは、自分だけに作られたオートクチュールのような作品だからなのかもしれません。
なのでお店にご来店の際はこっそり秘密めいてお出しします。

(担当神原)