刺青界の革命児にして、劇画アンダーワールドの首領!凡天太郎の単行本がフランスで発売!!




凡天太郎

SEX & FURY

【発行】Le Lezard Noir
【判型】ハードカバーA5サイズ 448P 
【販売価格】まんだらけ特別価格3300円+税
※定価は29ユーロ(1ユーロ:147.240931円 2014.11.28現在)です。

【発送日】現在船便で輸送中なので、入荷は6月中旬。日本国内に限り、予約期間中に申し込みいただいた方は送料無料離島はエクスパック、それ以外は佐川急便で発送いたします。

【販売店舗】札幌店、宇都宮店、中野店<マニア館、海馬>、コンプレックス(秋葉原)、渋谷店、名古屋店、うめだ店、グランドカオス(難波)、福岡、小倉(池袋店を除く、まんだらけ各店のヴィンテージコーナーにて取扱中です。)



解説

日本に脈々と流れ続けるアンダーグラウンド漫画の系譜。その中でも、劇画が商業媒体に進出しはじめた1966年頃から、漫画の世界の主流が劇画に置き換わる1973年という最も混沌とした時代の裏側。紙芝居から貸本へ、さらにエロ劇画成立以前の成年劇画の世界へと発表の場を移してきた異能の作家たちがひしめき合うこの劇画番外地における首領こそ故・凡天太郎(=初代 梵天太郎)である。

その凡天の集大成と言える劇画単行本『SEX & FURY』が2014年5月7日にフランスで発売された。
発行元は丸尾末広や初期の花輪和一作品を手掛け、高い評価を得ているLe Lezard Noir。

もちろん全編フランス語による収録だが、凡天作品は日本でも商業流通単行本が発行されたことがなく、雑誌の総集編が存在するのみ。近年、代表作「混血児リカ」(集英社「週刊明星」連載) がJコミにて無料公開され、ファンサークル凡天劇画会が4冊の自主制作本を発行。これまで語られることのなかった日本のビジュアル文化の地下水脈の存在と同時に、その特殊な作家像が認知されつつあるが、こうした作家の単行本が海外で出版されるのは異例のことだ。

特攻隊の生残りから紙芝居作家、赤本作家、少女漫画家を経て、刺青修行の旅へ。「右手に針、左手にギター」を持ち、全国津々浦々、博徒、テキヤの間を放浪し、刺青師・流しとして生計が立てられる腕前を身につけ、5年間の放浪の果てに抱えたドロドロした人間の闇の部分を「劇画」で表現しはじめる。

チーフアシスタントは俗に言う偽鬼太郎の作者として知られる竹内寛行。
スタッフは劇画家志望者だけでなく、刺青・絵画・歌手など様々な分野の弟子たちの他に、ほとんど居候・食客ともいえる若者たちもいたという。
とにかく面倒見の良かった凡天はこういった人材を総動員させ、『週刊明星』での長期連載を中心に据えながらも劇画誌に短編や中編を濫造した。

劇画家として活躍したのは僅か7年間だが、総作品数は150以上と壮絶な執筆量。
梵天劇画の魅力は、刺青修行を経てたどり着いた鬼気迫る描画、犯罪と差別と死が至るところに存在する不条理だけどリアルな社会、救いのない世界を彩る美女たちが繰り広げるエロとグロ。

梵天太郎は刺青の世界で現代和彫の基礎を築いた革命児として知られており、彼の本領である刺青を題材にした作品「女刺青師ルリ」や「刺青師一代」が初収録されていることは本書の大きなポイントになっている。
現在、フランスのケ・ブランリ美術館では2014年5月6日~2015年10月18日の長期にわたって「TATOUEURS, TATOUES」と題し世界的に見ても最大規模の刺青に関する企画展示が行われており、今まさに日本が目を背けてきたこの至宝の存在に、世界の注目が集まろうとしている。

収録内容

全編フランス語による収録。
全5部構成(以下、すべて邦題で表記しています)

巻頭
解説「凡天太郎の生涯とその活動について」宇田川 岳夫
資料集(協力:梵天太郎事務所)

第1部 刺青とヤクザの章
『図鑑・刺青』 芸文社「漫画パック」1968年8月1日号
『日本刺青傑作展』 土曜出版社「土曜漫画」1970年3月13日号
『猪の鹿お蝶 第1部』
新星社「漫画OK」連載
第1話 1968年5月9日号
第2話 1968年5月23日号
第3話 1968年6月6日号
『さくら吹雪の女(刺青師一代 第二部)』芳文社「別冊週刊漫画times」1970年2月2日号
『狂い獅子』少年画報社「漫画ボン」1973年4月増刊エロチック野獣劇画増大号
『女刺青師ルリ』
集英社「週刊明星」連載
第1話 1969年4月6日号
第12話 1969年6月22日号
第13話 1969年6月29日号
第14話 1969年7月6日号
第15話 1969年7月13日号
第16話 1969年7月20日号

第2部 怪奇の章(日本的土着とゴシックホラーの入り混じる怪奇作品たち)
『蛆』芸文社「コミックVAN」1969年
『墓地っ子』日本文芸社「漫画娯楽読本」1967年
『首』芸文社「漫画天国」1967年
『人肉面』芸文社「漫画パック」1967年9月創刊号

第3部 戦争と不条理の章
『兵営奇談』芸文社「漫画天国」1968年
『ああ独立海軍愚連隊』
芸文社「漫画天国」 連載
第1回『やりやがったな』 1967年11月24日号
第2回『暁の斬込み隊』 1967年12月8日号
第3回『隊長を殺れ』 1967年12月22日号
第4回『孤島の対決』 1968年1月5日号
第5回『爆破命令』 1968年1月19日号
第6回『戦陣の妖花』 1968年2月2日号
『ざくろ』芸文社「漫画天国」1968年

第4部 世相・社会問題の章
『死神の抱擁』双葉社「漫画オール娯楽」1969年
『本気と狂気の谷間』淡路書房「事件劇画」1971年2月5日号

第5部 扉絵集