パチソン(=オリジナル版とは違うマイナーな歌手が歌った楽曲)と元となったオリジナル楽曲をいくつか聴き比べたのですが、どの曲もそれぞれ味があり、ジャケットイラストも脱力感が満載でおもしろかったです。だいたいのパチソンが原曲よりも音の厚みが減ってしまったり場末のバー感が漂ってしまったりする中、「仮面ライダーBLACK」のテーマ曲は逆で、歌唱力においては どう聞いても原曲を上回っていたのが特に印象的でした。公式サイドも、歌が下手という設定を 後々のBLACKにつけ加えたというエピソードには笑ってしまいました。ただ、たしかにパチソン歌手の方が技術は上であったのですが この曲は仮面ライダーBLACK役の倉田さんが うますぎない歌声で歌っているからこそ 魅力的なのだなぁ...とも思えました。
また、この会の後に調べてわかったのですが、私が幼い頃に聞いていたアニメソングのカセットテープがパチソンでした。三つ目がとおるの「?のブーメラン」と 楽しいムーミン一家の「夢の世界へ」が頭に焼きついているほど大好きなのですが、今あらためてオリジナル楽曲と聴き比べると やはり思い出のせいもあってパチソンの方がしっくりきてしまいます。収録曲ラインナップが突飛な商品も多いようでしたが、私が聞いていたカセットには(記憶が確かなら)キューティーハニー、ひみつのアッコちゃん、キテレツ大百科も入っており、おそらくファミリー向けだったのだと思います。先の2曲は、このカセットがなければ私は知ることがなかったので、子どもの音楽経験を増やす点で功を奏していたのでは...?と憶測してしまいました。
楽曲をみんなで共有して、歌って楽しむアンセム的なアニメソングが、今では減ってきていると思います。音楽界としても レコードやカセットが再評価されている流れもあるので、ぜひパチソンもまた関心を集めてほしいです。昭和から平成の、すこしユルさのある文化として とても興味深いものだとわかりましたし、個人的な懐かしさもあり とてもたのしい鑑賞会でした...!高畠