本日の先生役を務めてくださった奥山さんは、近年弾き語りに熱中しているそうです。
持参されたギターは40年前に手にしたものですが、そこから長いブランクがあり、実際に演奏していた期間は合算して二年程度。
そんな奥山さんがなぜ今になって弾き語りに熱中しているのか。今ならば下手でも弾き語りができると考えたのか。
その答えはインターネットにある、ということで、冒頭にレジュメが配られ、近年のギター弾き語りを取り巻く環境について、インターネットサイトや、ネットで活躍している演奏者などについて説明がありました。
まず、ギター弾き語りを習熟する流れを簡単に確認しておきます。
1.楽器。必要不可欠です。
2.楽譜。これはなくても演奏できますが、下手を自認するならば、あるにこしたことはないでしょう。
3.練習。練習法と、できれば模範となる演奏があることが望ましいです。映像があれば尚良い。
4.発表。これも個人でひっそりと演奏する分には不要かと思われますが、聴衆を相手に演ずることも技能の一環ですし、モチベーションの維持のためにもあって良いものであると思われます。
5.鑑賞。練習法とかぶるところがありますが、そもそも弾き語りというものを総合的に楽しむならば、良い聴き手であることも重要です。
上述した5項目は奥山さんが系統立てて述べられたわけではありませんが、準備されたレジュメは奇しくもこれらの項目を網羅していたように思います。
弾き語りを視聴するならば勿論youtubeがありますし、楽譜について例を挙げるならば、歌詞と楽譜が自動スクロールされながら表示される「U-フレット」というサイトの紹介があり、自分の音源や映像をアップするサイト、ライブをして(観客が望めば)投げ銭までもらえるサイトもあります。
ギター弾き語りを志した人々の多くが、判りにくい教則本を相手にFコードひとつ弾けずに挫折していった前世紀と違って、現代はこういった便利なサイトを駆使することで、下手でもできるギター弾き語り、が可能となっているのです。
スクールでは奥山さんを皮切りに、交代で実演も行われました。
弾き語り経験者、人前で弾かないプレイヤー、かつてプレイヤーだった人、未経験者、普段別の楽器をやっている人、暗い音楽好き、等々。
さまざまな方々が集っていましたが、皆音楽が好きで、ひとまず歌を歌えれば楽しめるのが弾き語りの最大の魅力でもあり、大いに盛況を呈しました。
上手くなくても下手でも音楽は面白いものです。演奏者の人となりや、聴衆との関係性を楽しむことができるからです。
自分が満たされ、他者を満たし、今回は音楽を通じてでしたが、そういったことは何事にも繋がることなのではないかと私は思いました。
アルバイト 山谷