7月28日(月),29日(火)岩井班【地獄!乗車時間合計24時間!1都9県大回り鉄道乗りつくし・231駅停車!飛騨高山の旅】

メンバー:岩井(班長)和田(男性同人事業部)、奥山(編集部) 山田(池袋店) 黒田(中野店)

ざっといえば、今回は

「みんな車で山とか川に行ってバーベキューしてリア充的なキャンプに行くに違いない。そんなの向いてないよ」

「予算1万っていうけれど車運転できないし、人を楽しくもりあげるスキルもないよう。じゃあ普段やってる鉄道の旅で、これるやつだけついてこいな旅にしてしまおう」

といういささか天邪鬼な視点と、自分の引き出しの少なさへの諦めからこんな旅を計画してしまったのだと思います。

ぼくは今JR全線踏破をやってる最中で、2011年から始めて、現在69.9%まで達成しています。先週は青森から久慈、宮古と乗ってきました。
しかし何をやっても手段と目的が混同してしまう自分のこと、乗る事が目的で到着したあと何かしようというのは希薄。観光意欲はほとんどないので、こんな乗るだけ旅に他のスタッフがいってもつまらないだろう、ということで、ぼくと同じく旅行好きで、しかもいろんな観光名所にもいっている和田さんを誘いました。

ちなみに最初に考えたのは「中野駅からどこまで遠くにいってもどってこれるか?」を自分が試した旅で、中野駅発04:20に出て、新山口に24時に着くというプランです。
しかしこれは「中野駅に04:20に集まれる人がそもそもいない」「メシを食べる時間が姫路駅での17分しかない」「新山口に24時に着き、また朝5時の電車に乗って東京駅に着くのが24時なので、睡眠不足で翌日の出社に影響する」「なにより非人間的スケジュールである」という理由であきらめました。

というわけで、電車の景観が楽しめ、都会から秘境、太平洋から日本海、1都8県大まわりというルートを決めました。

【準備段階から分刻みで行動が指定される1日目】

初日のタイムスケジュールは

06:34 東海道本線沼津行
08.39 沼津着
08:42 浜松行に乗り換え
10:51 浜松着
11:03 豊橋行に乗り換え
11:37 豊橋着
11:51 大垣行(岐阜で降りる)
13:03 岐阜
13:15 高山線 飛騨古川行(高山で降りる)
16:37 飛騨高山着

と、一見簡単ですが、ここには数字には見えない苦労があります。
中野駅に05:50に集合し、東京駅で黒田くんと落ち合う、という予定ですが、そのためにはみんながその時間に集合できるかを検証しないと行けません。

西武多摩湖線経由の山田さんは

始発で出ても間に合わないので家から歩く
05:12西武多摩湖線萩山
05:20国分寺着
05:26JR国分寺発
05:50中野着 1度下車してほか3人と18切符に入鋏
05:58すかさず快速東京行きに乗り換え

与野本町の黒田くんは

05:16与野本町
05:37赤羽着(埼京線)
05:45赤羽発(京浜東北線)
06:09東京着

このルートを遵守しないと沼津行きに乗れない、この沼津行き325Mに乗れないと高山に着くのが2時間遅れるという、早朝からキビキビした移動を求められるシフトに。無事集まれたときはホッとしました。

まあそもそも山田さんが始発でも間に合わない時間で中野駅の集合時間が設定されてるのはどうなんだ!というのもありますが・・・。

さて06:18に東京駅に無事到着した我々は14分間でメシを買い、トイレに行き、席を取り、機敏な動きですべてをスパスパと対処、大半がアラフォーのメンバーなのに業務で培ったテキパキ感が生かされてるぞと妙なところで感動しました。

ちなみにですが東海道本線沼津行きは先頭車両付近がクロスシート(ボックス席)で、それ以外がロングシートです。2時間も乗るので、通勤電車のようにロングシート(横一列席)ではつらい。席を確保したいので早めに集合したいのと、乗り換え時間がけっこうタイトなのでその日の朝食と昼食は自分で確保しないといけません。

黒田くんは「それ新幹線でビジネスマンが食べるような駅弁だよね」というような立派な駅弁を用意し、しかし乗ってる電車は通勤電車なので周囲は眉間にシワ寄せたサラリーマンだらけでとても駅弁を開ける雰囲気ではなく、名古屋付近でモソモソ食べていていじらしかったです。

【走れ!沼津3分乗換え】

電車は都会を過ぎ沼津に到着しますが、

08.39 沼津着
08:42 浜松行に乗り換え

なにげにここが今回の旅の一番の難所だったりします。
ふつうこのような数分の乗り換えの場合は対面乗り換え(乗ってきた電車を降りて、もう乗るべき電車が隣のホームにいる)のが普通ですが、念のためJRに問い合わせたら一度階段を上がって別のホームに移動しないといけないとのこと。

つまり乗り換える階段に近い位置にいる車両に乗らねばならず、ドア近くに陣取らねばならず、そこからはダッシュしないとならず、一人乗るのではなく5人ちゃんと乗れないといけないのです。ここで乗り遅れると、高山に着くのは2時間遅れてしまいます。もちろん遅延してもアウト。東海道本線、遅延しないでくれよ・・・と祈らずにはいられませんでした。
事前に駅構内のマップを参照、タイムスケジュールのここが難壁だということを理解してもらい、ここで取るべき動きをシュミレーションしてもらったのが功を奏して、北朝鮮軍の閲兵式のような規律のある動きで無事乗り換えに終了したときはホッとしました。

【メンバーは意外にアグレッシブ】

初日は座れること前提でタイムシフトを組んだので乗り換え時間はいずれも10分程度ですが、その10分程度をアグレッシブに動くのは意外でした。10分の間にお土産を買い、トイレに行き、あまつさえ立ち食い蕎麦を喰う。これは本店の動きだな、と涙が出そうになりました。
特に豊橋駅であと5分くらいで電車乗るぞ、というときに、自分の後ろから走ってきた和田さんがきしめんを食べていたり、2日目富山駅であと10分だぞ、というのに白エビの刺身をたべていたり、糸魚川での30分くらいの停車時間で寿司屋を見つけ出して寿司をつまんだ奥山さんの動きには感心しました。
いっぽう山田さんは電車の旅も経験済みということで旅慣れており、こちらからなにかをレクチャーする必要なく路線、乗り換え席取りと食事とてきぱきこなしており、なんだか自分を見ているようでした。

【カレーきしめん】

立ち食いそばで食べようと思ってたのが豊橋駅の「カレーきしめん」。普通のきしめんにカレーが乗っているだけですが、油揚げまで入っているのが本場の心意気です。あげの入ってないきしめんなど認めない。おかげでカレー味の油揚げを初めて味わいましたが、違和感がないのが不思議です。

【高山本線は秘境だらけ】

岐阜を突っ切って富山に向かう高山本線は、そのほとんどが山の中です。景観のよさが図抜けており、山々と立ち並ぶ奇岩、と底まで見える川と併走して列車はゴトンゴトンと進んで行きます。この頃にはお互いに会話するというのではなく、みなが思い思いに何かをしながら風景に目をやってぼーっとしているようになりました。
噂されていた蛾は本当に大量発生していました。

【高山到着】


高山に到着したのは16:40分程度ですが、高山は町が終るのが早いのでみんなでわっせわっせと練り歩き、メンチカツを食べ、飛騨牛ひつまぶしを食べ、ケーキを食べ、茶を飲み、お土産を買占め、アニメ「氷菓」の舞台を見て周りました。







京都のように道が格子状の町で、中央に川があるのが高山ですが、静かな大人の町という印象で、騒がしさとは無縁。海外客も多数いました。



やたらと高山に詳しいので聞いてみたら和田さんは高山に10回も来ているとのこと。おかげで店や名所、町案内をお願いでき助かりました。


 このあとは自由行動でしたが、一番活発に動いたのは奥山さんで、レンタサイクルで町を流して居酒屋に行き、最後は高山ラーメンで締めたそうです。ぼくは早起きして翌朝、高山の朝市をみてまわりました。


【ゆったりとした二日目・・・のはずが】

二日目は

07:42 高山線猪谷行
09:00 猪谷着
09:06 富山行
09:56 富山着 
10:26 北陸本線直江津行 糸魚川で35分の停車があるため、休憩
12:54 直江津着
13:11 信越本線長野行
14:47 長野着
15:04 篠ノ井線松本行
16:19 松本着
16:33 中央本線大月行
19:47 大月着
19:54 中央線東京行

という予定。

高山本線を出た電車は北陸本線の富山-新潟と出ますが、閑散としたダイヤなので富山で30分の余裕が出ました。
乗り換えに慣れたこのあたりになってくると、男性陣は「みじかい乗り換え時間で何をするか競う」エクストリームスポーツみたいなことになっており、前述したように30分未満(しかもホームから駅改札まで5分ある)で、寿司屋に行って寿司を平らげて帰ってくる和田さん。ギリギリになり全速力で走るはめになりました。和田さんは「白エビは甘いですね」といたって余裕ですが、太りの自分には全速力は堪えました。

【立山そば】

富山駅といえば立山そばです。なんのことはない駅そばではありますが、富山市民のソウルフードでもあり、地方の駅そばでありながら食べログで口コミが40件写真が100件も載ってる愛されそばなのです。
カマボコに「立山」と書いてあるだけなんですが、なぜかいつも食べてしまうんですよね・・・。ちなみに富山と新潟はそばつゆ文化圏のフォッサマグナが走っており、新潟は関東の黒いつゆ、富山はやや関西風です。

【筒石駅のことなんか誰も知らない】

北陸本線には俗にモグラ駅と呼ばれる、トンネルの中に筒石駅があるのは鉄道ファンならだれでも知っているのですが、他の4人はまっくらなトンネル内でいきなり電車がとまり、あまつさえそこでおばあちゃんが何人も暗闇へと消えていくのを恐怖に思ったのか、黒田くんは「トンネルの中で止まったけれど、なにがあったんですか!」と動揺していました。

事前に知っていれば「こここういうポイントだから」とレクチャーできて話の種になったのにと悔やむところです。

【新潟から長野へ】

糸魚川での35分の停車では、海にいく者、やはり寿司屋に行く者、あつくてあんまり動かない者と好対照でした。
ちなみに糸魚川での35分の停車は特急待ちだと思うのですが、東京だったら中野から立川あたりまで余裕でいける時間、電車はただ駅で止まっているだけという、なかなかにない出来事です。

さて長野に着いたところ、ダイヤグラムには載っていなかった臨時快速列車が走ることが判明。これに乗ると松本で30分の余裕が出るがどうするとみなに聞いたところ「そっちがいい」との意見。僕は内心「各駅のほうがビンボくさい無人駅がたくさん見れていいなあ」派でしたが、数の論理には勝てずです。

ここでの「30分有効活用」も素晴らしく、お土産を買いまくる、長野まで来てアニメイトに行く、蕎麦屋に入って「20分じゃ蕎麦作れない」と断られてシュンとする者、長野でしか売ってないローカルラーメン「ポンちゃんラーメン」を探してデパートを右往左往したりして「乗り換え集合時間にきちんと集まり、電車の席を確保し、その上でこれだけ動いた」と、なかなかにみんなの個性が出ていて面白かったです。

【松本からは、もうけっこう辛い】

今回の電車でもっとも長い時間乗る電車で、距離的にもかなりのものです。みな自分の席を確保しましたが、さすがに朝7時から電車に乗りつめており、そろそろ皆の顔に疲労の色が出始めました。

【まず、尻が痛い】

今回思ったのは、ボックスシートに3人とかで座ると足や尻が動かせないので辛い、ということ。
ガラガラに空いている電車ではみんながボックスシートを占領して思い思いのポーズで本読んだり寝たりゲームしたりと自分の部屋のように振舞えましたが、最後の大月→中野の中央線ではそうもいかず、景色もまっくらで退屈ななか、通勤ロングシートにぎっしり座る、そうこうしてるうちに最後の最後で腰の痛みや尻の圧迫感が襲ってきて、これはみなも同様だったのか動物病院から帰ってきたばかりのネコみたいな表情で5人並んでいたのが印象的でした。
大月からの1時間半がもっとも疲労のピークでした。大月駅で乗り換えたときに、「これでもう乗り換えのたびに緊張して走り回らなくてすむぞ!」と安堵して緊張の糸が切れたというのもあるかと思いますが。
そのあと三鷹駅で山田さんが離脱、僕も荻窪で離脱し、のこり和田さん・奥山さん・黒田くんは中野で解散で旅は終了です。


ゆったりとして景色も旅情も楽しめて良かった! というのはありますが、高山へは通常で特急を使えば3時間半で行けたりします。 常識でいうなら時間の無駄遣いであり、我々社会人は何よりも時間のムダを嫌うのですが、こういうのもたまにだったらよいものだよなあとみんなが感じてくれたらいいんじゃないかと思います。

岩井



このページの先頭へ