まんだらけ 小倉店

L.S.C in 小倉 〜ライトノベル普及委員会〜【第24回】 『豹頭王の花嫁』が永遠に読めないなんて!

注:今回、かなり感情的な文章になっています。あらかじめご了承ください。


人間というのは本当に悲しいことに遭遇すると、理不尽さに怒りが込みあげてくるようです。
特に、自分の中で大切にしている人物の訃報に遭った時には、世の無常としか言いようののない絶望があります。
1989年に手塚治虫先生、2002年にナンシー関さんの訃報に触れた時もそうでした。

そして2009年5月26日。ひさしぶりに理不尽な怒りを感じました。
作家:栗本薫死去。享年56歳。

…え?

なにかの悪い冗談なのでしょう、きっと。
TVで第一報に触れても現実感が湧かないニュースでした。

だってそうじゃないですか?あの、物語を紡ぐために生まれてきたような人物が、数多くの作品を未完にしたまま逝く?
「グイン・サーガ」最終巻『豹頭王の花嫁』を世に出すこともなく。
伊集院大介についに生涯の伴侶をあてがうこともなく。
「魔界水滸伝」の新章ももう見ることはない。
作中作家:栗本薫の息子・優介くんの成長ももう見れない。

ほら、悪い冗談でしょう。

冗談じゃないとするならば、サブプライムやら世界同時不況なんかよりも、よほど世の中が悪くなる一因です。
よくできたフィクションを読んで憂さ晴らしをする以上の幸せが、僕たち本読みにあるのでしょうか。
その中でも最上最高(作品のすべてではないにしても、一部あるいは大部分がそうであったであろうことは、共感していただけると思います。)の送り手の一人が、わずか56年で生涯を中断されるとは!

もうイヤです。生きる気力が尽きそうです、本当に。

15年ほど前、担当は「グイン・サーガ」を50巻までそろえていました。
その時高校生だった担当は「残りは100巻で完結したら、そのころには大人になっているだろうから一気に読もう」などと思っていたものです。
その後「グイン・サーガ」は100巻を超えても続き、これは老後の楽しみにシフトすべきか…などと思っていたのですが。
結局、作者自身すら老後を迎えることもなかったということになりました。

ムリヤリこのコラムの内容に合わせるとするならば、栗本薫先生がいなければ、ライトノベルなどというものが市民権を得る現状など絶対に生まれてこなかったと断言できます。
才能と文章力さえあれば、どのような身勝手な内容のフィクションを書いてもいいのだということを身をもって示したのが栗本先生でした。


(図1)


まんだ林檎先生による伊集院大介シリーズのコミカライズも進んでいたというのに…。
本当の本当に、残念です。無念です。ただのファンとして、悲しいです。
ご冥福をお祈りします。

次回はなんの話にするか、まったく考えていません。もし気力が回復したら、栗本先生のことを少し書くかもしれません。

(担当 有冨)

※この記事は2009/6/10に掲載したものです。
このページの先頭へ

お問い合わせ (営業時間:12:00〜20:00)

まんだらけ 小倉店(詳しい店舗地図はこちら)
〒802-0001 福岡県北九州市小倉北区浅野2-14-5 あるあるシティー 4F
TEL 093-512-1777 / e-mail kokura@mandarake.co.jp
このページの先頭へ