岩井の本棚 「2007ベスト」第6回

池尻流通センタースタッフ・渋谷店スタッフ編

2007ベストを編集していて「モーニング2率高いなー」と感じた瞬間がありました。
モーニング2は隔月刊で、気がついたら書店に並んでる・・・って雑誌なのですが、 講談社系の作家半分と、小田扉・笠辺哲・くぼたまこと・中村光にオノナツメなど、 講談社色のない作家を集め、しかもその作家陣のエニックスや小学館の広告が載っているという自由度の高い雑誌。
モーニング2連載作からは
「聖☆おにいさん」中村光
「ファンタジウム」杉本亜未
「BEATITUDE」やまだないと
「羣青」中村珍
が選ばれていました。次号は2月19日発売だそうです。

同様に「アフタヌーン率」も高かったですね。まあ毎年のことですが。
アフタからは
「おおきく振りかぶって」ひぐちアサ
「ミミア姫」田中ユタカ
「俺と悪魔のブルーズ」 平本アキラ
「吉田家のちすじ」中島守男
「カラスヤサトシ」カラスヤサトシ
「ナチュン」都留泰作
「チノミ」吉永龍太
「謎の彼女X」植芝理一
となんと8作も選ばれてました。IKKIやコミックビームも健闘していましたね。

ちなみに去年は「ダメ男マンガ」が流行ったせいか、スピリッツ率が高かったような記憶があります。
来年は何からえらばれるのが多いのでしょうか? 自分がふだん読んでない雑誌を、読む機会の一助になれば嬉しいです。

第6夜は流通センターと渋谷店です。

そういえば僕、渋谷店の藤田さんから、内線で「ビッチ!! ビッチ!!」と口汚く連呼され、衝撃のあまり受話器を取り落とす・・・というショッキングなできごとが年末にありました。
オレは「ボーイズ・オン・ザ・ラン」のちはるか! ビッチの鑑か!!とひとりツッコミしてしまいました(話題になった「ボーイズ〜」9巻発売時のスピリッツ告知より)。

※この記事は2008年1月21日に掲載したものです。

(担当 岩井)

「革命の日」「女類男族」「辺境警備」


「革命の日」つだみきよ

高校まで男性として生活してきた主人公が実は女性であると解り以後、女性として生きていく、というお話です。 実際だったら洒落になりませんが基本ラブコメなのでそれほど重い話ではないです。 見てる分には「萌え」なのですが我が身にと思うと本当恐怖ですね。
考えるとどこまでも考えてしまう作品でした。

「女類男族」新井理恵

とにかく色々な要素を詰め込みすぎてハチャメチャカオスな感がありました。
自分的にはそれが面白かったのですが人を選ぶ作品かもしれません。

「辺境警備」紫堂恭子

中世ファンタジー風世界が舞台のほのぼの物語です。
ほのぼのの中にも色々考えさせられる様な、話もあります。
自分としては、さえないオッサン(実は元美形)が主人公というので一番ポイントが高いところです。
今年どんな年だったか
どんな年?一言で言えばマッハ、二言なら超マッハ...とにかくあっという間に過ぎていった気がします。

流通センター 本担当 阿部

「スイート★ミッション」「神風怪盗ジャンヌ」「スシ王子!」


「スイート★ミッション」藤井明美

主人公の思い人(?)の夏センパイが、とにかくかっこ良くてかっこ良くて大好きなんです!! “キザでサドで眼鏡で生徒会長”・・・いかにもな感じのキャラです!
夏センパイは主人公に対して好きだという行動を起こしているのにそれを只の意地悪だと思っているニブイ主人公・・・。 主人公の方が夏センパイを好きになった事に気付き始めたかと思ったら、今度はそれを只の勘違いだと思い込んで突然暴走したり・・・と、主人公の天然っぷりがちょっと笑えます。 主人公と夏センパイがくっつきそうでくっつかないところがイライラするけれど、逆にそれが気になってついつい読み続けてしまいます。

「神風怪盗ジャンヌ」種村有菜

今年完全版が発売されたので購入して改めて読んでみました。
ジャンヌはやっぱり強くてかわいくて大好きです!!
色々と好きなシーンがあるのですが、中でも一番好きなのが最終話の最後の数ページです。 一つの詩のようになっていてすごく印象に残るんです。
こんなにキレイな言葉が出てくる有菜さんって、なんだかすごいなぁといつも思います。

「スシ王子!」佐藤周一郎

ドラマ版を観ていたので、マンガ版も読んでみました。
衝撃的でした。だってスシ王子の髪型が王冠の形になっているんですよ!
びっくりです。一体どうやってこんな形にするんでしょう・・・?
今年どんな年だったかについて
今年は“王子”ブームでしたね。
周りを見ればなにもかも“王子”がついてました。
・・・でもやっぱり王子といえば“光一王子”か“スシ王子”が一番だと思いますっ!!(キンキとひこにゃん萌えです!!)

流通センター 本担当 川名

「もやしもん」「のらみみ」「天使のフライパン」「テガミバチ」


「もやしもん」石川雅之

アニメ化にもなりました。菌が肉眼でみえてしまう能力を持った主人公の日常の話。
見える菌がカワイイイからいいものの、リアルで見えてたらどんだけ気持ち悪いんだと思いながらも麹菌のオリゼーがカワイクおてしかたがないです。
幼なじみが登場しなくなったと思ったら女装して黒ロリになって再登場という突拍子もない展開もありますが菌の勉強もできて、楽しめるマンガです。

「のらみみ」原一雄

この世界が現実にあったらどれだけ楽しいんだろうと妄想しながら読んでます。
中学に上がるまでの子供がいる家庭にキャラが居候するのがあたりまえの世界で キャラ達に居候先を紹介したり、キャラを欲しがる家庭にキャラを紹介する。
紹介所を拠点に日常を描いています。
とにかく出てくるキャラが一癖も二癖もあってカワイイです。
主人公は訳があって紹介所に居候してますが、いつか子供がいる家庭に居候ができるように日々模索中です。 私は2巻に出てくる白リンゴのアカホッペが大好きです。

「天使のフライパン」小川悦司

出てくる料理が全部美味しそうに見えてきます。ヨダレがたれそうです。
料理を食べたときのリアクションが毎回すごいです。さすがです!
お腹すいてる時に見ないほうがいいかも?

「テガミバチ」浅田弘幸

毎回じ〜んっときます。 夜が明けることの無い国で郵便配達員をしている主人公。
鎧虫(ガイチュウ)とよばれるモンスターと戦いながらいろいろなものを配達していく話。
過去に色々なことがあり、目標を達成するためにこの仕事についてますが、説明が難しいので一度読んでみてください。
読んでると心が温かくなります。
今年どんな年だったかについて
今年はジャニーズに再点火した年でした。中2以来です。
今年読んだマンガで。WORSTもリボーンも面白かったのですが、前回上げてしまったのであえて上げませんでした。
というか自分の中では殿堂入りです。
そして、リボーンで絶対ナイと思っていた。カップリングにハマり新たな道が出来てしまった年でした。
自己紹介
クール眼鏡にスーツのセットが大好きで美味しいものを食べる時と寝てる時が一番幸せを感じるとなぜか最近気付きました。
仕事は主に倉庫で全店舗の発注と、在庫の整理をしています。
初めて倉庫内を見た時は物量に圧倒されました。

流通センター 本担当 蒲地

「コータローまかりとおる」「ARMS」「カケル」


「コータローまかりとおる」蛭田達也

学生の頃から好きな本で、巻数が多くて場所を取るから実家に置いていたのですが、 今年、文庫版を買いやっぱりコータローは最高だと思いました。
内容は学園コメディーでバトル、ギャグ、ラブコメいろいろ詰まっていてお薦めです。
なぜか、最近ワイド版も欲しくなってきた今日この頃・・・

「ARMS」皆川亮二

普通の高校生活をしていた主人公が巨大な組織の陰謀に巻き込まれていくストーリーで、 ワイド版がでたのでまた、読み返していますが皆川先生の作品はどれもオススメ ですがARMSは一押しです。
特にワイド版は描き下ろしがあるのでオススメです。

「カケル」竹下堅次朗

元から好きな作品でしたが、復刻版が出たので読み返しています。
竹下先生の作品は同じ作品でもジャンルが突然変わるので(特に、カケルは推理物→超能力?→ラブコメ→バトル)、 かなり人を選ぶ作品ですが、どれか作品を読んで面白いと思ったら是非、他の作品も読んでみることをオススメします。
今年どんな年だったかについて
今年は、いままで敬遠をしていた文庫版やワイド版に手をつけ始めた年でした。
なので今回のオススメはそれに絞って選んでみました。
どれもオススメなので機会があれば是非読んでみてください。

流通センター 本担当 樋口

2007年読んだ(ジャケ買いした)マンガ


「夜桜四重奏」ヤスダスズヒト/講談社

神様家族のキャラデザとかノがメジャーですかネ?
アッサリスッキリの線がステキ。
で、ジャケ買いです。
ホラ。目を引く表紙なんですよ。
ちなみにお話は妖怪と人間が共存している街の物語。
現代モノです。
女子高生町長ガンバル!みたいな。
猫又のコとか言霊使いのコとか鬼のコとかいます。あ、キョンシーも。
でも現代モノ。
町歌があります。ステキです。「♪ツンツンデレツン、デレツンツン♪」

では、同人スタッフらしい小ネタもヒトル。
『AWA STUDIO』というサークル名で同人活動もなさってます。
・・・・・ました・・?・カモ...。最近は・・・?
「イカ子さん」好きでしたっ!!

「しましま」群青/一迅社

これまたジャケ買い。
ちなみにお話は妖怪と人間が共存している街の物語。
アレ?どっかで・・・・
コチラの妖怪は「しましま」と呼ばれております。
【夜桜〜】は妖怪が妖怪としてヒトと共存しているんですが、
コチラはヒトの姿になることでヒトに混ざって暮らしています。
そんなワケで、自分が「しましま」と気付いてないコとか居てモゥソリャカワイイって!
ハートウォーミングストーリーでございます。
この方も同人活動をなさっていたりするようですが、コチラに関しては小ネタナシです。
スンマセン。だって、男性向けではないと思うし...。

「まとちゃん」結城心一

もちろんジャケ買い。
ビバ幼女!
ちなみにお話は妖怪と人間が共存していたりはせず、虫と共存しています。
フツーか。
虫好き少女まとちゃんが淡々と大暴れです。
アレを暴れてないと言うのなら、ナニを暴れているというのか?と。
だって、給食の中に・・・・
虫が好きすぎてオカシナコトになっちゃってます。
ちなみにワタクシはヒサちゃんが好き。
2007年どんな年だったか
今年はアニメが放映中止になる程の哀しい事件が有りました。
そんなツライ・クルシイ気持ちをそれこそマンガで忘れる事が出来たらなァって 思いますねぇ。
気分転換ダイジデス。
そんな今年の後半には新星登場でしたね。初音ミク。
あ。初音ミクっていやぁ、鏡音リン。
なんすか?レンて。イツノマニッ!?
皆様のご要望にお答えしてのオトコノコボイスって。
発表の時期からするとギリギリぽいですよね。
そーゆー柔軟性は見習いたい物です。
それにしても、14歳ですねぇ。ニヤニヤ。

こんなマンガを選んだワタクシにとっての今年はってぇと。
酒に始まり酒に終るそんな一年でしたねー。
アレ?毎年?酒とマンガとアニメと同人...。って.....。

渋谷店 男性向同人誌担当 センバ

「ヤング盆堀さん」こと猪狩


新年早々お目汚し失礼します。
「ヤング盆堀さん」こと猪狩と申します。
渋谷店で雑用の合間にCDやDVD、ゲームを担当させてもらっています。

これから暫く駄文が続くので、ブラウザの「戻る」ボタンが画面の左上にある事を覚えておくと便利かもしれません。

さて、今年(もう去年か)読んだ面白かった漫画何よ?という話ですが、そもそも何で現在漫画担当でもない僕にお鉢が回って来たんでしょうか。 中野にいた頃の所業のせいで「あいつは変態だからきっと今でも変な漫画ばっか読んでるだろう」と思われての人選でしょうが、 変態である事を否定する気は毛の先ほどもありませんが、残念ながら今年はあまり変な漫画は読んでません。
たぶん僕のキャラ的に「らき☆すた面白かったでござる!かがみんは俺の嫁!」とか書けばおいしいんでしょうが、らき☆すたは完全にアニメ派なので書きません。
みさきちの声が聞けるのはアニメだけなんですよ。
単 行 本 か ら 声 は 出 ん の で す よ ! !

…閑話休題。
そろそろ本題にいきましょうかね。

「カラスヤサトシ」カラスヤサトシ

何と説明すればいいんでしょうか。
もうね、徹頭徹尾くだらない。
こんなしょーもない漫画、たぶん他にないですよ(良い意味で)。
僕の貧困なボキャブラリーでは、残念ながらこれ以上の称賛は不可能です。

意図的に滑稽を演じてる感はありますが、ここまでくると感動すら覚えます。
滑稽は突き抜けると感動になるんですね。
今年読んだ中で一番好きです。
あと時間が足りなくてサイン会行けなかったのも忘れられません。

「聖闘士星矢」車田正美

幼い頃は毎週アニメ版を欠かさず見ていて、最終回の時は終わってしまうのが嫌で泣きわめいていた(母談)ほど好きだった聖闘士星矢。
しかしそれも大昔の話なので内容は完全に忘れていたのと、実は原作を読んだことが無かったので最近になって読んでみたんですが、いやぁ無茶苦茶面白いっすねこれ。
今こんなのやったら後付け設定多いだの伏線もクソもないだのと袋叩きにされそうなのに、そこは時代の力と割り箸ペンで描いたようなぶっとい描線の力でカバー。
あまりの熱さに読んでるほうまで小宇宙が爆発してくるあたりは、流石車田組長と言う他ありません。 ていうか車田組長って実は黄金聖闘士でしょ?蟹座あたりの。

「化け猫あんずちゃん」いましろたかし

単行本出て良かったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

末期のボンボンはこれと三国伝のために読んでたんですが、 休刊の話が出た時には「もしやこのまま単行本出ずに消滅するんじゃ…今のうちにあんずちゃん載ってるボンボン集めたほうがいいんだろか」とビクビクしてたんですよ。
いやぁ良かった。

それはともかく、末期ボンボンのカオスっぷりは凄かったですな。
うんこちんちん愉快漫画の次に松本零士、デルトラくんすっとばすが巻頭を張り、何より奇跡のNOA大復活。 講読者層を絞らずに散弾銃ぶっ放しゃ幾つか当たるだろ的な構成は、半ばヤケクソだったとしか思えません。
僕は相当数被弾してたのでかなり楽しめたのですが、そりゃ廃刊にもなるわなぁ。

「SWEET三国志」片山まさゆき

昨今の三国志ブームに漏れず僕も三国志に絶賛大ハマり中なわけですが、 その知識の源泉はというと殆んどゲームからでした。
横山三国志すら殆んど読んでません。

なので僕の三国志知識といえば、魏延が変な鉄仮面つけて言語障害だったり周泰が何とかしてくれたり馬超がウブで男勝りな太眉ポニテだったりと、どうにも歪みまくってるわけです。

そんなわけで、ここいらでひとつ三国志の漫画でも読んで正しい知識を身につけようか、と思って手にとったのが(よりにもよって)これ。
しかし表紙の時点で気付くべきでしたが、歪んだ知識に拍車がかかってしまいました。
とにかく出てくるキャラ全員がいちいちおかしい。
張飛はパンツ一丁サングラス、徐晃は「徐行」の標識を武器に闘い、魯粛に至っては名前に魚という字が入ってるからって半魚人!
そもそも呉の人間が全員関西弁で芸人根性丸出し!
子孫の方々が見たら憤死する事請け合いですね。

とまぁこんなキャラばかりで大いに笑えるんですが、史実の大事な部分はしっかり押さえてるので、ざっくりと歴史を追う位なら全く問題なし。
最近三国志に興味を持った人には、文庫三冊で済むこれが手軽で良いかもしれません。

「重機人間ユンボル」武井宏之

これが十週で打ち切られた時、かねてから疑問を抱いていた少年ジャンプ編集部の先見眼の無さには、呆れを通り越して怒りすら覚えました。
「ジャンプはアンケート数が絶対」という噂はよく耳にしますが、そんなもんの真偽はもはやどーでも良く、いかなる理由があろうとこれを平然と打ち切るセンスが微塵も理解できません。
無限のロマンと良く出来たキャラや設定と随所に炸裂する武井節、これに期待せずして今後のジャンプの何に期待すれば良かったんでしょうか。
あまりに悔しくて、我が家の枕がちょっとだけ濡れたとか濡れなかったとか。
そんなわけで、非常に残念な意味で今年印象に残った一冊なわけです。
今でもジャンプSQでの再開を密かに待ち続けています。
ライパクの奇跡よ再び来たれ。

と、この文章を打ち込んでるまさに今この瞬間に大ニュースが!
シャーマンキング完全版刊行決定!
さらに完結編も描き下ろし!!
やったぁぁぁぁぁ俺ジャンプ編集部大っ好き最高愛してるずっとずーっと信じてたよ!!!!!!

「島耕作」シリーズ 弘兼憲史

昔の女と再会する度に寝るのが出世の秘訣ですね!
勉強になります!
とまぁこんな感じでしょうか。
他にもラーメン大百科とかコミックヨシモトでやってた都市伝説のやつとか書きたいのは幾つかあるんですが、このへんは他の誰かが書いてくれてるだろうから止めときます。
それでは、こんな文才皆無な僕の駄長文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

あーついでに。
ゲームサントラ売るなら是非渋谷店へ(宣伝)。

渋谷店 トイ/ゲーム担当 猪狩

2007 好きな作家の今年読んだ連載作品ベスト3


「地平線でダンス」柏木ハルコ 小学館

柏木ハルコ作品といえば、ほとんどの話の中に「H」がおり混ざっています。
ただ、登場人物は本音でぶつかりあう事も多く単にヤルだけとは違い「性」はもちろんですが「生」の方を色濃く感じます。それだけキャラクターが強いんです。
女の人が強いのも特徴で怒っている女性を主人公共々どうすれば怒らせずにうまく話を持って行けるのかいつも考えさせられながら読んでいます。
「地平線でダンス」は主人公の女の人がタイムスリップに失敗して動物に乗り移ってしまうんですが、どうにか男を立ち直らせようと健気に頑張っていて、他の作品に比べてとても読みやすくお勧めです。

「黒博物館スプリンガルド」藤田和日郎 講談社

藤田和日郎作品といえば、少年漫画の王道!
どうして、藤田マンガに出てくる男はこんなに勇気があるのでしょうか?
それに出てくるキャラクターを本当に大事に扱っていて作者の愛情をひしひしと感じる作家さんです。
「黒博物館スプリンガルド」は実際の事件を元にしてたりもするんですが、藤田節も加わって抜群です。 いや〜、良いですね、切ない恋。すぐに好きだとか愛してるとか言わない所が日本男児。
でも言うときは言わないと駄目ですけどね。
そうそう、装丁も作風にあっていて良い感じですよ。

「海獣の子供」五十嵐大介 小学館

五十嵐大介作品といえば、幻想的なものが多く生物や自然が多く出てきてますよね。絵の方もかなり線に味があって、どうやらボールペンで描いたりしてるみたいです。
五十嵐大介のようにファンタジーをリアルに描ける作家さんはあまり多くいません。
「海獣の子供」は海と空という二人の人物が出てくるんですが、かなり個性的にキャラクターが立っています。
自然や動物などの題材が多かった五十嵐作品の中ではちょっと異色かも。
勿論自然の方(特に海)の描き方はすばらしいですよ。今回はかなり長篇になりそうなので楽しみです。 読み返す度に多くの伏線が垣間見えて来るところは流石。
2007年どんな年だったか
2007年は過激な事件等も多く、その影響で漫画の出版日時やアニメが延期になるなど大変な1年でした。
過激な描写の中にもテーマがある漫画も多いし、良い作品にめぐり合った時の喜びは他に替れるものではないだけに残念な思いもしました。まあ、もっと残念なのは自分が買った本の割合で、年々萌え系が増えている所ですが。

というわけで結構、王道な作品ですが、読みやすいので機会があったら是非読んでみて下さい。

渋谷店 コミック・ラノベ担当 松下

元気ですかーッ!!


渋谷店で少年コミックを担当しております清水です。最近では脳の老化が激しく、 このような1年を振り返る的な話を持ち出されても、既に2日前の事すらすんなり思い出せない有様なので正直難儀致します。
そう、年とると自然に“刹那主義”になれるのです。
「夕べはどこにいたの?」
「そんな昔のことは覚えていない」
「今夜、会ってくれる?」
「そんな先のことは分からない」
は映画『カサブランカ』の有名な台詞ですが、僕の場合はそんなカッコイイものではなく、
「よし子さんや、飯はまだかいの」 「おじいちゃん、さっき食べたばっかりでしょ?」
みたいな感じ、みたいな。

2007年はとにかく音楽を貪欲に聴きました。音楽の新しい聴き方も覚えました。
そしてこれはしばらく続きそうです。
音楽もマンガも自己を一旦保留して開放する、ちょっとした非日常体験だと思います。

皆さんは何を求めてマンガを読みますか?
腹のよじれるような笑い?心の奥底から溢れ出る涙?打ちひしがれるほどの感動?

僕にとってマンガは数少ない、“外界”と繋がる、または距離を測るためのツール。
普段マンガはほぼ雑誌で読む派の僕が今年買った単行本を見てみたら改めてその事を認識させられました。 小説や映画など、いわゆる“物語”にマンガ意外で触れることが極端に少ないので、やはり自己を投影できる種類のマンガにどうしても思い入れを抱いてしまう。
もちろん、何も考えずに笑って読めるマンガも大好き。
しかしそういったものはむしろ心に残らなくても良かったりするし、 他の方がたくさん紹介してくれると思うのでワタクシのセレクトは少し変わったノリで行きたいと思います!
ハッキリ言います。全てに共通するキーワードは「ダメ」、それも人物を形容する時の「ダメ」です!!ダメ!絶対!!ダメ!!

「俺はまだ本気だしてないだけ」青野春秋 小学館

本作が初単行本の大型新人(帯コピーより)によるダメ人間ストーリー。
40歳になって突然自分の人生に疑問を感じ、安定したサラリーマン生活を捨て漫画家を目指すと言いながらも家族の白い目をよそにプラプラ暮らす主人公。
まずタイトルに惹かれて読んでみた。しかしこのテのマンガにしては主人公が飄々としすぎていて悲壮感、 どころかどうもふてぶてしさが勝っちゃってる(40歳というトシのせいか?)印象を受けたので、きっと作者はマトモな人でわざわざダメな人間を描いているのかな、 などと穿った見方をしながら単行本も読み終わろうとした瞬間目に飛び込んできた巻末のポエム。
・・・全部持ってかれた。この作者もまたきっと愛されるべきダメな人なんだと分かった。そして泣いた。

「ダメ人間グランプリ」「不死身のニッポン」花くまゆうさく(ともに青林工藝舎)

共に2007年の新刊。 花くま氏の作品は掲載誌の関係か時事を扱ったものが多く、それを独自の解釈で時にはアイロニカルな笑いに変えて見せてくれる。 ダメな事件、ダメな人間をまたダメなオチで描く。「不死身のニッポン」は過去実際に起きた事件を花くま流に風刺した作品。
そして「ダメ人間グランプリ」は花くま氏の視点による、実に様々なダメ人間がグランプリを競うべく一堂に会したオリジナル。
一見独特の粗い画風と、余りにハチャメチャな展開が現実離れを感じさせるかと思いきや、登場人物の言動がもの凄く本能的でそれが逆にリアルなのだ。 ともすれば共感を生んでしまうほど。

「僕の小規模な失敗」福満しげゆき 青林工藝舎

最近の連載作品「うちの妻ってどうでしょう?」「僕の小規模な生活」へと続く自伝的作品。
高校入学から紆余曲折を経て漫画家を目指す生活、現在の奥さんとの馴れ初めが事細か(絵も細かい!)に描かれた、終始どんよりとした凹みマンガ。 主人公(作者)の、口に出したセリフ以外の心の声が「闇金ウシジマくん」並に、やけにリアル。
ダメなヤツはただダメなんじゃない。
人並み、いやそれ以上に考え、感じているのだ。

「昭和の中坊」末田雄一郎/吉本浩二 双葉社

あちこちで賞賛を浴びているこの作品を今更僕が挙げるのはなんだかこっ恥ずかしいのですが・・・。 AVもネットもない昭和70年代の中学生たちが注ぐエロへの情熱!
主人公のニゴシは部活動、学校行事、そして受験勉強と目の前の課題をこなしていく途中でいつもエロの誘惑に負けて横道にそれ、失敗を招いてしまう。
それも目的がそんなだから常に男子からは笑われ、女子からは軽蔑の眼差しを受けて大恥の連続。
ここまで挙げてきたダメ人間とは種類が違いますが、僕個人としてはこの「クラスメイトの前で恥をかく」というところに痛みを感じずにはいられない。 身内の中で恥をかく、なんと辛い瞬間でしょう。一気に押し寄せる劣等感、孤独感、疎外感。あぁ、学生時代の記憶が忌々しく甦ってくるようだ。
そんなニゴシと、彼に共感を覚える全ての男子たちに「かいてかいて恥かいて 裸になったら見えてくる 本当の自分が見えてくる」という、アントニオ猪木の言葉を贈りたい。
と、まぁ何だかとってもネガティブな文章を書き連ねてしまいましたが、僕はUTU病でもありませんし、ヤンデレ系でもありません。
ただ、何もかも無難な人間よりもダメな人間の方が気になるじゃありませんか。
愛せたりするじゃありませんか。
本当は今年一番夢中で読んだのは実はこなみかなた「チーズスイートホーム」、最近では浜田ブリトニー「パギャル!」だったりします。

だから心配しないで下さい。そして捜さないで下さい。

2008年がよい年になりますように。

渋谷店 コミック担当 清水☆タツヤ

「カボチャの冒険」など


「カボチャの冒険」五十嵐大介/小学館

吹雪の中屋根で無表情のカボチャ。
空を飛びマックスまで伸びきったカボチャ。
恐竜と戦うズシィィンてしたカボチャ。

可愛い!可愛すぎる!絵がうますぎる!
ちゃんと本の中でもカボチャが成長しているんですよー。
五十嵐大介の漫画は2種類あって想像表現か生活表現。
生活(妄想も入っちゃうけど)を描いた本作は可愛いだけではなくカボチャをはじめとした自然の描写が鳥肌もの。
願わくばフルカラーであって欲しかった…。

2007年は私の中で五十嵐大介に埋め尽くされた年でした。
なんといってもサイン会に行けたこと。こんなに嬉しかったことはありません!泣きました!
『海獣の子供』も素晴らしいです。五十嵐大介の頭の中が本の中に確実にひとつの世界として息づいている。
ページをめくるたび、本からほとばしるオーラ、鼓動。まさに漫画でしか表現できない世界です。
だから本当は五十嵐大介が1位。他の追随を許しません。大好き!!

「聖☆おにいさん」中村光/講談社

圧倒的に絶対おもしろい!笑い泣きした!シュワッキマッセェリ〜!
現世に生きる仏陀とイエスの神二人。もう笑えて笑えて!毎号本当に楽しみにしています。
不条理とかそういうのではなくて正統派ギャグ漫画なのがすごい。
身の周りみんなが好きなので絶対たくさんランクインしていると思いますが、本当に笑えるから未読の方は1月の単行本をぜひ。神の地元・立川でのサイン会メチ行きたいっス。

「ハクバノ王子サマ」朔ユキ蔵/小学館

1,2巻辺りの30歳を過ぎて男の気配がない女の心情の吐露が凄まじさが面白かったのですがその後失速気味。 大好きなビール飲むシーンもすっかりなくなってしまいました。もっとテンポが速くなって掲載率が高くなると嬉しいです。
しかし!11〜12月にかけてのタカコサマと友人の喫茶店の会話に久しぶりに発狂しそうな女独りの恐怖とフィーバータイムが過ぎた故の焦りを感じました。これです。
まさに女性だから描ける境地。受け止めました、心得ました!
調子に乗ってる20代女の必読書。

「ランダバウド」渡辺ペコ/集英社

渡辺ペコの描くジュブナイル。
『東京膜』ですっかりファンになった渡辺ペコの新刊が2冊同時刊行!嬉しかった!
でも『キナコタイフーン』はちょっと読んでいて疲れました。原作付よりピンでの作品が好み。
最後にグッと顔をあげる爽やかさと汗臭さを感じる漫画を描かれます。『東京膜』のチャコベスト。 作品の中で1,2ページ「いいな」と思うところがあって時々思い出すことができるので好きです。
やたら歯やエクボ(ホウレイ線?)がリアルに描かれるところも心に残ります。

「ブンブン堂のグレちゃん」グレゴリ青山/イーストプレス

旅行本の天才・グレゴリ青山が古書店でのアルバイト時代の経験と好きな本について描いた本作。 古書店といっても漫画本ではなく本当に古書。
古書には興味なかったのですが、読んでみて自分の中の本の虫がうずいた!
正直絵は上手じゃないし、フキダシは手書きだしで読みにくい部分もあるかもしれません。(そこが大好き)
しかしアレもコレも全て魅力!本好きな人間に伝わる身近さを持った、愛のあふれる一冊です。 読んでいると自分も本が読みたくなる衝動を起こすことのできる本です。
っていうか、グレゴリ青山が好き。

「船を建てる」鈴木志保/秋田書店

復刻を機に鈴木志保デビューしました。復刻してもらえて良かった!読めて良かっ た! 絵とストーリーが見事に調和して漫画が、一粒の宝石だったり、ゆらめく海の底みたいに感じる。 と、こんな陳腐で恥ずかしい表現しちゃうくらいワーってなってガーンってなりました。まじパねぇ!
一話一話をすごく大切に何回も

「岳」石塚真一/小学館

漫画なのに漫画みたいなことが決して起こらない漫画です。
読みきり形式で掲載されているのですがいずれも上質の話。
上質すぎて連続で読むとお腹いっぱいになってしまうけど、レベルの高すぎる証拠です。

「魔人探偵脳噛ネウロ」松井優征/集英社

連載当初から好きだったのですが、HAL編でネウロが髪結わえた時にすごい興奮しました。ヤベー! あの髪型、タバネウロっていうの本当ですか?あの数ページでランクイン。人生の分岐点。
久しぶりに同人誌に手をだしました。面白かったです。
今年の出来事と自己紹介
グレゴリ青山やサラ・イネスなどを愛し、なるべく心がへこむような漫画、事象からは遠回りしています。 でもすごーく嫌な気持ちになるのに『ボーイズ・オン・ザ・ラン』だけは毎回非常に楽しみです。どんだけ女に怨みあるのですかね。
もちろんサブカルは苦手です。
でも「お前は気ちがいにあこがれている」と上司に言われたのがショックでした。
隠してたのにバカ!
あと、今年はビッグコミックオリジナルに目覚めました。
『あんどーなつ』や『深夜食堂』など面白い作品満載です。
今年のニュース
今年は渋谷のBOOK1stさんが小さくなってしまったことが大事件でした。
趣味も垣間見える店頭でしたがきっちり入荷させる力量のある店舗だっただけに無くなってすっかり生きにくくなってしまいました。
漫画以外もあるし毎日通ってたのに!
ミーハーの私をウキウキさせた毎週土曜のサイン会。もう無いのですね。
渋谷という一大エリアの本事情が変わりました。

渋谷店 少年マンガ担当 藤田

お問い合わせ (営業時間:12:00〜20:00)

まんだらけ中野店(詳しい店舗地図はこちら)
〒164-0001 東京都中野区中野5-52-15
TEL:03-3228-0007 / e-mail:nakano@mandarake.co.jp